研究概要 |
初期宇宙の銀河中心で超巨大ブラックホールが誕生する瞬間を捉え,超新星残骸や銀河団などの宇宙大規模高温プラズマの衝突によって起こる高エネルギー粒子加速を探査するためには,微弱な天体の硬X線精密分光撮像が必要である.従来の検出器では,分光能力の不足や衛星軌道上の放射線による高いバックグラウンドが問題となり,その実現が阻まれていた. そこで私たちはSOI(Silicon-On-Insulator)技術を応用した日本独自のアナログ・デジタルICと厚いX線検出部を持つ一体型シリコンピクセルSOI検出器「X線SOIPIX」でこの困難を打ち破り,ワイドバンドX線分光撮像天文学を開拓する.今年度は下記の成果を得た. (1)裏面照射型素子の製作と低エネルギーX線(Al-Kα1.48keV)の初検出 a.穴開きパッケージを用いた素子XRPIX1b-CZ-FI/BIを製作した.表面(回路側)および裏面(空乏層側)のいずれからもX線を照射可能である. b.XRPIX1b-CZ-FI/BIで表面照射と裏面照射の両方で1.48keVのAl-K輝線の検出した.世界初である. (2)読み出し回路の改良,多色X線発生装置の準備(評価システムの改良) a.計測アンプを用いた読み出し回路を製作した.平成24年度より使用する. b.Mini-X,α線源,回転導入機などの導入を行い,平成24年度の整備に備えた.
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