研究課題
電荷有感アンプ内蔵素子の開発によるエネルギー分解能の向上:読み出しノイズを改善するために,今年度は全てのピクセルに電荷有感アンプを内蔵する素子XRPIX3の開発を行った.その結果,ゲインが従来の3.5倍に向上し,読み出しノイズ33e-(rms)を達成した.図2はXRPIX3を-50℃,バックバイアス電圧5V,フレーム読み出しで得たFe-55からのMn-K X線のスペクトルである.エネルギー分解能300eV(FWHM)を達成し,Mn -Kα線とKβ線の分離が初めて可能になった.軟X線性能を改善するための裏面処理の開発:軟X線を検出するためには,X線を照射させる素子裏面の不感層をできるだけ薄くする必要がある.その際,不純物を打ち込むだけの単純な裏面処理では,多数の格子欠陥が生ずるので暗電流が増えて,読み出しノイズを劣化させる.そこで暗電流を抑えるプロセスを開発する必要がある.本年度は(a)厚いウェハに対するラピス裏面プロセス,(b)薄くしたウェハに対するラピス裏面プロセス,(c)「ピザプロセス」の3つのプロセスを試した.次年度にそれぞれの性能評価を行う.
2: おおむね順調に進展している
最大の課題であった,読み出しノイズとエネルギー分解能が向上した.電荷有感アンプの導入は精巧であった.また,軟X線検出感度向上への方策も進める事に成功した.
素子回路のレイアウトを改良し,さらなるエネルギー分解能の向上を目指す.また組み込みADCのTEGとしてXRPIX-ADC1の評価を行う.評価結果次第で実際の組み込みは本研究終了後になる可能性もある.
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IEEE Transactions on Nuclear Science
巻: 60 ページ: 586-591
10.1109/TNS.2012.2225072
http://www-cr.scphys.kyoto-u.ac.jp/member/ryu/html/SOIPIX.html