研究課題
我々の獲得目標は、すばる望遠鏡において、恒星に近接する、系外惑星あるいは円盤構造の直接撮像を可能にする技術を確立することである。恒星のごく近傍の領域の直接撮像は、既存観測装置では手が届いていない領域であるが、間接的な視線速度法によるサーベイ観測では、多数の惑星の存在がすでに確認されている。この恒星極近傍領域の観測は(我々の)太陽系近傍恒星のハビタブルゾーンにおける惑星の形成および進化を理解する鍵である。我々は新観測装置-the Subaru Coronagraphic Extreme Adaptive Optics(SCExAO)system-を開発し観測に使用することによってこのゴールを目指している。2011年度は、すばる望遠鏡で初めてSCExAOを運用し、その装置改良を行なった。2011年9月11日には、いまだ改良中ではあるものの、SCExAOを使って天体からの光を受け、コロナグラフシステムや自動導入機構等の各モジュールの機能を検証した。PIAAタイプのコロナグラフを用いて、初めて天体画像を取得しPIAAコロナグラフのコンセプトを実証した。カナダのHIA(ヘルツベルグ天文物理研究所)と現在可能であるより非常に暗い星においても動作可能な高感度波面センサーの共同研究を開始し、HIAと我々の博士課程学生が機械デザインを完成せた。この製作はすばる望遠鏡で行れ、2012年度に完成予定である。この研究は、Guyon博士が指導する学生の博士論文の焦点となる。SCExAO装置には可視光チャネルがあるが、これを用いて可視域での回折限界像を得ることができるのを実証した。これらの像は(干渉系ではない)単一望遠鏡で取得したものとしては、最も鮮明なものである。これは、まもなく審査される学生の博士論文のテーマでもある。我々は可視光システムの改良を進めており、高空間分解能を必要とする日本のサイエンスコミュニティに提供することを検討している。これは新技術として電子増幅型(EMCCD)の高感度高速可視カメラを用いている。
2: おおむね順調に進展している
我々が行ったことは大まかには以下のとおりすばる望遠鏡とSCExAOにおいて、初めての可視光での回折限界像を得たすばる望遠鏡でSCExAOの光学システムに天体の光を導入したすばる望遠鏡環境内でにSCExAOの光学定盤の組み上げ:AO188装置とHICIAO装置との結合天体での円触コロナグラフ技術の検証天体での光学系への自動導入コントロールの検証
私たちの次の年度の計画は、(1)特にハードウエアの改良により信頼性を向上させサイエンスの生産性を上げること(2)暗い惑星の検出を可能にする、新しい高速波面センサーをSGExAOシステム内に構築すること(3)高コントラスト撮像方法における、新しい高感度波面コントロール手法の検証
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Publications of the Astronomical Society of the Pacific
巻: Volume123, issue910 ページ: 1434-1441
10.1086/663723
http://www.naoj.org/Projects/SCEXAO
http://scexao.blogspot.com/
http://www.naoj.org/staff/guyon/05projects.web/SCExAO.web/content.html
http://www.naoj.org/staff/guyon/05projects.web/SCExAO.web/ReportObs_2011-09-11.web/content.html