研究課題
本研究は、恒星に近接する系外惑星及び円盤構造の直接撮像を可能にする技術の確立を目標としている。視線速度法等の間接的な手法では惑星の存在がすでに確認されているが、恒星のごく近傍の領域(1~10天文単位)の「直接撮像」は、既存観測装置では未だ手が届いていない。この極近傍領域の観測は太陽系のハビタブルゾーンにおける惑星の形成と進化を理解する鍵となる重要なテーマであるため、新観測装置「Subaru Coronagraphic Extreme Adaptive Optics (SCExAO) 」を開発し、すばる望遠鏡に搭載することで本研究を進め、次の成果をあげている。2012年度は、すばる望遠鏡と赤外線カメラHiCIAOを組合せ、初めて本観測と同仕様での実観測を行い、SCExAOにおける3つの根幹となる技術の同時運用に成功した。1、PIAAコロナグラフと呼ばれる「位相を調節することで、明るい中心星の光が外側へもれ出すのを防ぐ技術」の実証に成功。これは明るい中心星の極近傍の惑星を分解するのに重要な手法である。2、リアルタイムで光学系内部のtip-tiltエラーを補正し、観測時における星像のブレを抑制する「コロナグラフ低次波面センサー」の有効性を実観測で確認できた。3、 望遠鏡を通した際に生じる回折パターンをリアルタイムで測定し、焦点面における星像の光学的残差を補正する新技術の実証に成功した。なお、上記3点に関する成果は、2012年10月に受理されたVincent Garrel氏の博士論文(題名: visible light imaging with SCExAO)と2012年12月に受理されたCelia Blain氏の博士論文(題名: modeling of MEMS deformable mirror for SCExAO)として、報告されている。
2: おおむね順調に進展している
現在までの進行状況は大まかには以下のとおり。- すばる望遠鏡とSCExAOを実際に組合せ、4つのうち3点(コロナグラフ性能、星像安定性能、回折限界像の測定とその補正)の基幹となる技術検証を科学観測と同じ条件で行い成功した。- 2月15日にハワイ観測所にて試験結果報告を行い、すばる望遠鏡科学運用装置として承認を得た。- 4番目の基幹技術である可視光での高感度高速波面センシングも順調に進行中である。
次の年度の計画は以下のとおり。(1) 可視光における高次波面センシング+コントロールを可能にする。(2) 近赤外線で星像のストレール比90%を目指す。(3) 高速度波面コントロールを可能にし、他のSCExAOハードウェアと組み合わせて運用する。この3つの技術の確立をPhase2と位置づけ、完成と安定した科学運用を目指す。
すべて 2013 2012 その他
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 4件) 備考 (3件)
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