研究課題
本研究では、水素のライマンアルファ線(Lyα線 121,6nm)の直線偏光を検出して太陽彩層・遷移層磁場を測定する計画に対して、観測装置に使用されるホログラフィック矩形溝の高効率凹面回折格子の国内開発を目指している。平成23年度にその仕様を定め、平成24年度に溝本数3000本/mm、有効径φ90mm(目標φ110mm)の矩形溝球面凹面回折格子を国内S社と共同開発した。平成25年度では、この開発品の評価試験の実施と偏光較正試験用の光源開発を進めた。平成25年度に分子科学研究所のシンクロトロン光施設で実施した開発品の測定を通して、Lyα線波長において目標有効径φ110mmまで回折格子として機能することを確認した。S社製品製造工程のもとで製作された三つの凹面回折格子のLyα線波長における絶対回折効率は、正常に溝が形成された領域においては目標仕様値である15%を超えており、このような凹面回折格子を国内で開発可能であることを示した。有効径内の絶対回折効率の一様性は、ホログラフィック溝形成前に行うフォトレジスト塗布厚の一様性によっており、現段階ではまだ確実性は高くない。ロケット観測に使用可能なものは製造された三つのうち一つのみで、その絶対回折効率はφ110mm有効面内で25±5%であった。他の2つには溝形成不良により局所的に5%以下になっているような低効率領域が認められた。高効率を実現できた背景には、平成24年度に開発を進めたMgF2コーティングの反射率改善の寄与が大きい。平成25年度に実施した開発研究内容については、平成26年3月に国際基督教大学で開催された日本天文学会で報告している。また、較正試験準備のために進めたLyα線波長の半波長板の開発に関して査読付き論文を発表している。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Appl. Opt
巻: 52 ページ: 8205-8211
10.1364/AO.52.008205
http://hinode.nao.ac.jp/user/harahs/kakenhi_2011_2013.htm