研究課題/領域番号 |
23340053
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研究機関 | 独立行政法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
和田 武彦 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (50312202)
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キーワード | 赤外線天文学 / 極低温 / 集積回路 / 画像センサー / テラヘルツ |
研究概要 |
従来のハイブリット遠中間赤外線画像センサーでは、読みだし集積回路の性能(雑音、線形性、消費電力)が不十分であったため、感度が十分に出なかったり、信頼性に欠け、また、画素数の多い画像センサーを実現出来なかった。本研究では、FD-SOI CMOS VLSI技術を用いることで、その困難を克服し、低雑音、良好な線形性、超低消費電力で動作する極低温読みだし集積回路を開発する。これにより、大フォーマット遠中間赤外画像センサー開発への技術的困難は解消遠中間赤外線天文学が飛躍的に進歩すると期待される。 2011年度には、まず、FD-SOI CMOSをもちいて作成した回路要素、すなわち、n-ch MOSFET、p-chMOSFET、OPAMP、シフトレジスター、などの極低温(4K)での測定結果を分析した。その結果、FD-SOI CMOSを用いて集積回路を作成すれば、遠赤外線検出器(ゲルマニウム検出器)の読み出し回路に要求される諸性能(読みだし雑音、ゲイン、洩れ電流、消費電力、信号振幅幅)を十分満足するものが造れる事を明らかにした。これは、地上望遠鏡や気球望遠鏡を用いた高背景放射環境だけでなく、軌道上に設置した冷却宇宙望遠鏡を用いた低背景放射環境においても、自然背景放射雑音限界を達成できることを意味する。そして、その結果を研究論文にまとめ発表した(Nagata et al.2011;Wada et al.2012) その結果を踏まえ、電荷蓄積型アンプに必要となる、アナログスイッチの設計と試作を行った。さらに、それらの回路要素を組み合わせ、読み出し回路とした場合の総合的な性能を評価するため、2x2素子の読み出し集積回路の設計と試作を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定通り、もっとも基本的な2x2素子の読み出し回路を設計/試作することができた。しかし、KEK主催によるMPW(multi project wafer)試作の完成が2011年度末にずれ込んだため、予定していた性能の評価が十分に行えていない。
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今後の研究の推進方策 |
2012年度に行う予定であった、多画素読み出し集積回路の設計試作に取り掛かるまえに、2011年度に試作した2x2素子の特性の評価を十分な時間をかけて行う。そのために、2012年度の試作は年度後半に行うこととし、予定していた特性評価は、2013年度におこなう。
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