研究課題
前年度末に試作した2x2素子読みだし回路の極低温(4K)での性能を評価した。画像センサーには、検出器からの信号を保持する電荷蓄積アンプ、画素選択のためのアナログスイッチ、それらを制御するデジタル回路が必要である。すでに、アンプとデジタル回路は、極低温での動作を確認済みである。そこで、本年度は、CMOSアナログスイッチ(W/L=0.63/5.0um, body tie type)の評価を4Kで行なった。その結果、Vdd/Vss=(+3/-3V)の条件で、+/-1.5Vの信号振幅、ON抵抗10-20Kohm、OFF抵抗3E14ohmと画像センサーの画素選択には十分な性能が確認できた。これらの成果を国際学会"10th International Workshop On Low Temperatures Electronics"(WOLTE-10)と"International Conference on Space, Aeronautical and Navigational Electronics 2013"(ICSANE 2013)にて発表した。実際に画像センサーを観測装置に組み込む場合、極低温で動作するセンサー部と常温で動作する制御装置の間には10m程度の距離あり、ケーブルには1000pF程度の寄生電気容量が生ずる。この容量を直接センサーが駆動するとセンサーの発熱が過大になる。これを避けるため、1対のソースフォローアーからなる中継アンプを作製した。極低温(4K)でも常温(300K)でも動作することを確認し、振幅1Vの1MHz矩形波を十分に伝達できることを確認した。これは例えば将来の大型冷却赤外線望遠鏡SPICA観測装置の中継アンプとしても十分な性能である。オペアンプの評価を進めたところ、わずかに発振をしていることが分かった。この発振の原因を探索し、出力負荷容量の過大が原因であったことを特定した。出力にソースフォロアーアンプを取り付ける事で回避できることが分かった。実際に、本研究で開発した中継アンプ用のソースフォロアーを用いることで、発振を抑制できることを確認した。これらの成果を基に、実用的な5x2素子の設計を行なった。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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