研究課題/領域番号 |
23340055
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
寺田 幸功 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (90373331)
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キーワード | 宇宙物理 / 宇宙線 / エックス線天文学 / ガンマ線天文学 / 白色矮星 / 中性子星 / ASTRO-H衛星 / CTA計画 |
研究概要 |
白色矮星が宇宙線の起源天体となりうるかを観測的に検証すべく、[A]エックス線と[B]ガンマ線の帯域において、[a]現在稼働中の天文台を用いた天体観測と[b]将来稼動予定の望遠鏡開発の2テーマを遂行した。初年度である平成23年度の業績は下記の通りである。 [A-a]エックス線観測衛星「すざく」を用いて観測した白色矮星の詳細解析を実施し、一部の天体から、統計的には有意でないものの宇宙線起源の放射の傾向をとらえた。同等の系の観測成果は、国際会議で成果発表するに至った。また、中性子星パルサーの観測においては、光度の変動に伴うエネルギースペクトルの形状変化を捉えることに成功した。さらに、中性子星と白色矮星とをつなぐ研究会を開催し、理論的・観測的な議論を深めた。 [A-b]エックス線将来衛星ASTRO-Hの検出器に搭載する硬X線撮像素子の開発に取り組んだ。今年度はセンサーに印加する高圧電源を制御する回路の設計を固め、パルサー観測に必須である時刻付機能の検証実験を行った。また、較正情報を整理すべく衛星較正の国際会議に参加し、欧米の衛星との情報共有を行ったほか、米国NASAとの協力のもと、衛星データ解析用のソフトウェアと較正データベースの設計チームを組織し、概念設計を完了した。 [B-a]銀河系内のガンマ線連星系からの放射が、将来のガンマ線望遠鏡計画CTAやASTRO-Hで検出し必要とされる物理量が導出可能か、の検討を行った。成果は、国内学会で発表したほか、査読論文としてまとめ始めている。 [B-b]CTAの焦点面検出器PMTの実験系の立ち上げを開始し、基礎特性の測定を開始するに至った。成果は、国内学会で講演した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度の目標は、a)X線衛星「すざく」を用いた天体観測の実施、b)ASTRO-H衛星の装置開発と較正・ソフトウェア開発、c)ガンマ線観測提案の検討開始、d)CTA計画の実験の立ち上げ、の4点であったが、いずれも、a)宇宙線加速源候補である逃亡星の観測を実施、国際会議発表、b)米国との共同研究が立ち上がった、c)ASTRO-HとCTAを用いたガンマ線連星の観測可能性の検討が収束、d)実験設備が整い測定が開始できた、とほぼ達成できている。よって、評価を2とした。
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今後の研究の推進方策 |
初年度は、ほぼ予定通りに計画が進んだので、次年度以降も、研究計画書のとおり遂行する。
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