研究課題
・エックス線観測衛星「すざく」を用いた系内天体の観測は以下の3種の天体のX線観測を実施し、結果をそれぞれ査読論文にまとめた。1) 銀河系内の新種の粒子加速天体候補 BD+43 3654の観測を実施、超新星残骸での粒子加速環境との違いをあきらかにした(Terada etal 2012) 2)粒子加速を起こしている白色矮星の候補として、EUVE0317-855のX線観測を実施し、X線光度の上限を求め、加速効率に制限をつけた(Harayama et al 2013) 3) Crab という系内の中性子星が引き起こす硬X線光度の変動を定量化し、詳細な分光観測から放射過程に制限をつけた(Kouzu et al 2013) さらに、ストックホルムで開催した国際会議で、本課題をテーマとする分科会のチェアを務め、各国の研究者との議論を行った。・エックス線観測衛星ASTRO-Hの開発は、以下の3点をすすめた。1) 搭載装置の較正プランを精査し、衛星から出力されるデータの一次処理のフォーマットを決定した。2) 衛星で取得したデータに正確な時刻をつけるためのアルゴリズムを詳細化した。3) 取得データの高次処理プログラムとして、時刻付や天体座標付のコードをNASA と共同で開発した。特にこの3点を進めるために、英国と日本で開催されたASTRO-H サイエンス会議に参加し、ソフト・較正パートのチェアを務めた。・ガンマ線望遠鏡CTAに搭載する焦点面検出器の開発を進めた。焦点面に用いる光電子増倍管のアフターパルスの測定系を立ち上げ、平成25年度に1000本以上納品される光電子増倍管の較正に必要な試験項目の明確化と、較正実験システムの基礎モデルを作成した。・平成25年度にガンマ線観測とエックス線観測をリンクする国際会議を開催すべく準備をすすめた。
1: 当初の計画以上に進展している
装置開発に関しては、X線衛星・ガンマ線望遠鏡のいずれもおおむね順調に開発が進んでいる。一方、観測装置を用いた天体観測に関しては、5年計画の2年目にもかかわらず、既に、宇宙線粒子の加速天体としての白色矮星の重要性が認知されつつあり、ストックホルムでの国際会議で一つのセッションを取りまとめるに至った。また、3年目にX線とガンマ線を繋ぐ国際会議も企画することができている。
天体観測に用いる装置開発に関しては、これまで同様に、X線衛星ASTRO-H とガンマ線望遠鏡 CTA の開発を続行する。ASTRO-H 衛星の打ち上げが半年延期となり2015年度となったが、開発チームが優先的に利用できる半年間の科学観測期間は本研究課題の計画内であるため、問題ない。X線観測衛星を用いた白色矮星の観測は、既に複数天体の観測を実施しており、3天体がまだ査読論文等にまとめられていない状況であるので、平成25年度中に投稿する予定である。
すべて 2013 2012 その他
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
Publications of the Astronomical Society of Japan
巻: 65 in press ページ: X-1,X-18
巻: 65 in press ページ: X-1, X-8
Astroparticle Physics
巻: 43 ページ: 301,316
10.1016/j.astropartphys.2012.09.004
巻: 43 ページ: 3,18
10.1016/j.astropartphys.2013.01.007
The Astrophysical Journal Letters
巻: 764 ページ: L23-1, L23-4
10.1088/2041-8205/764/2/L23
巻: 65 in press ページ: X-1, X-12
巻: 64 ページ: 138-1, 138-7
The Astrophysical Journal
巻: 760 ページ: 54-1, 54-9
10.1088/0004-637X/760/1/54
http://www.heal.phy.saitama-u.ac.jp/~terada/mg13so04.htm