研究課題
・エックス線観測衛星「すざく」を用いた白色矮星の観測データの解析を継続、2つの強磁場白色矮星連星における粒子加速の可能性を定量化した。また、最初に兆候を見つけた水瓶座AE星の白色矮星からも、増光時に非熱的放射が増えるか否かの検証を行った。また、強磁場中性子星の増光データを緻密に分光解析し、超強磁場の証拠ともいえる光分裂の兆候をつかむ結果を得た。さらに、「すざく」衛星で、白色矮星連星の終焉の姿である超新星爆発現象を 200キロ秒観測し、爆発時に生じる非熱的現象の残光を捉える試みも開始した。・次年度に打上予定のエックス線衛星ASTRO-Hの時刻付け機能の実験結果を総まとめし、IEEE国際会議で口頭発表を行った。検出器較正情報と解析ソフトウェアの開発においては、搭載機器の4検出器のチームとの研究打合せを繰り返した結果、較正情報テーブルの詳細設計と情報集約、衛星テレメトリーの一次処理のデータフローの詳細設計、ユーザー配布のFITS形式フォーマット確定などの成果が得られた。これらは7月パリ、2月東京で開かれた「ASTRO-Hサイエンス国際会議」にてソフトウェア較正セッションで成果発表し、本セッションのチェアもつとめた。・ガンマ線観測においては、次世代ガンマ線望遠鏡CTA計画の将来観測計画の議論に参加し、銀河系内の天体の観測可能性を議論し、観測時間や指向方向など観測パラメータを詳細化した。・ガンマ線望遠鏡の開発においては、CTA計画の大型望遠鏡の焦点面検出器の光検出器の自動較正システムを構築し、実際に半数の1000本近くの較正実験を実施した。
2: おおむね順調に進展している
エックス線観測自体はほぼ終了し、710キロ秒の観測データの解析を緻密化する段階に来ており、ほぼ予定通りである。さらに、ガンマ線観測計画、エックス線観測装置開発、ガンマ線望遠鏡の焦点面検出器開発も、ほぼ予定通りもしくはそれ以上実施できているが、ASTRO-H衛星の稼働、およびCTAの部分観測開始はいずれも来年度末となっており、本課題開始時に想定していた時期よりは若干の遅延が見られるため、「おおむね順調」とした。
平成27年度は最終年度となるため、4年間の成果を総括しまとめる事に注力する。・エックス線衛星「すざく」を用いた白色矮星連星の観測データ解析を継続、完了したい。具体的には、硬X線で非熱的放射が見込まれる1天体と粒子加速の兆候をつかんだ水瓶座AE星の解析を完了し査読論文にまとめたい。また、白色矮星終焉の姿である超新星爆発における非熱的現象に関しても解析を完了し査読論文にまとめつつ、国際会議で講演する。・次期エックス線衛星ASTRO-Hの装置開発としては、時刻付け機能実験のまとめをIEEEの査読論文としてまとめたい。さらに、冬の打上げまでに較正情報・ソフトウェア開発を一旦完了し、打上後の衛星軌道上較正観測に備えたい。・ガンマ線観測計画は、これまでを継続し、日米欧の計画議論に参加し、銀河系内天体の観測計画をまとめる。・ガンマ線望遠鏡開発としては、焦点面検出器の較正試験を完了し、試験結果をまとめ、装置の最適化に活かしたい。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (16件) (うち招待講演 3件)
The Astrophysical Journal
巻: 785 ページ: article id. 95
10.1088/0004-637X/785/2/95
Physical Review Letters
巻: 113 ページ: id.011102
10.1103/PhysRevLett.113.011102