原子炉格納容器の外側に置いて、核分裂反応の際に放出される反電子ニュートリノ(以下「ニュートリノ」と略記する)の検出率により原子炉運転状況をモニターできるような可搬型の小型ニュートリノ検出装置の開発を行なった 。ニュートリノは炉心から格納容器の外側までの遮蔽物をほとんど素通りするので、原子炉建家のすぐ外側でトラックに載せたままでモニター可能であり、核不拡散のためのIAEA(国際原子力機関)の保障措置活動に将来使用できるめどが立った。 これまでに得られた結果をもとに、第3次プロトタイプであるPANDA64検出器を製作した。モジュール数がこれまでの倍近い64本になった ことに伴い、検出器からコンピュータへのデータ転送速度の改良を行った。この改良によって従来より高いイベントレート下での測定が可能になった。東京大学構内において、実際に6mコンテナ内に設置して数ヶ月の試験測定を行った。その際、高速中性子バックグラウンドを低減するための水遮蔽タンクを設置し、その有効性を確認した。その後、モジュールを100本に増やした最終型検出器PANDA100の開発を行った。 また、関西電力大飯発電所での第2次プロトタイプPANDA36検出器でのニュートリノ検出実験の結果の解析を進め、最終的に結果を論文にまとめNuclear Instruments and Methods in Physics Reseach section Aに発表した。
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