研究課題/領域番号 |
23340058
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
横山 順一 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50212303)
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キーワード | 重力波 / 宇宙論 / インフレーション / 宇宙ひも / テンソルゆらぎ / 超弦理論 / 原始ブラックホール / 相転移 |
研究概要 |
本研究計画の目的は、重力波の直接観測が可能になる近い将来を見据えて、これを用いた宇宙論を本格的に展開し、従来の光学的観測では得られなかった宇宙の晴れ上がり以前、特にビッグバン元素合成以前の宇宙の進化を直接観測によって明らかにする方法を確立し、どのような物理的帰結が得られるかを明らかにすることです。 具体的な目標として、(A) Cosmic superstringを持つ宇宙における熱史の決定 (B) スカラー場宇宙論おける重力波生成とその観測的帰結 (C) 原始ブラックホールダークマターの連星系から生成する重力波の計算と観測可能性 (D) Thermal inflationと重力波 (E) 大振幅のテンソルゆらぎ=重力波を生成するインフレーションモデルの構築 の5つを申請時に掲げました。当該年度は、まず(A)については、宇宙ひもの放出する重力波に対し、パルサータイミングデータが強い制限を課すようになってきたため、これを逃れる理論模型の構築に取り組み、成功しました。(B)については、数値計算プログラムを作成中です。(C)については、連星系のできる確率を数値的に計算し、解析的な見積もりと比較しました。(D)については未着手です。(E)については、二回微分方程式で進化が記述できる最も一般的なインフレーションモデルの構築に成功しました。さらに、ヒッグス場を使ってインフレーションを起こす一般的な枠組みの構築しました。それによってこれまで知られていなかった新しいモデルを発見したと共に、比較的大きなテンソルゆらぎを実現することができました。このほか、インフレーション中に相転移を起こし、モノポールを観測可能な程度残せることを示しました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(B)についてはやや遅れていますが、それ以外のテーマについては順調に進捗しています。
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今後の研究の推進方策 |
プランクによる精細データの発表を踏まえ、より現実的な宇宙モデルの構築に取り組み、その中で重力波がどのような意義を持つデータを提供可能か、詳細に明らかにします。
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