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2011 年度 実績報告書

超広視野すばる銀河サーベイによる精密宇宙論の探求

研究課題

研究課題/領域番号 23340061
研究種目

基盤研究(B)

研究機関東京大学

研究代表者

高田 昌広  東京大学, 数物連携宇宙研究機構, 特任准教授 (40374889)

キーワード宇宙論 / ダークエネルギー / 重力レンズ / 暗黒物質 / ニュートリノ / 宇宙の構造形成
研究概要

2013年中期から開始するすばるHyper Suprime-Cam(HSC)銀河サーベイを念頭に、その準備研究として以下の研究を行い、その論文を査読論文に発表している。
まず、すばるHSCから得られる重力レンズ統計量と銀河団の個数密度の赤方偏移進化を組み合わせることにより、宇宙論パラメータ、特にダークエネルギーの状態方程式パラメータを制限するための方法論を開発し、期待される決定精度を見積もった。この研究は、Oguri & Takada(2011)として査読論文に掲載されている。この研究では、考えられ得る観測量の系統誤差(測光的赤方偏移の不定性、重力レンズ観測量の系統誤差)をモデル化し、その不定性影響を考慮した。結果として、これら系統誤差の影響を除去する新しい方法を開発することに成功した。特に、HSCサーベイと現在稼働しているBaryon Oscillation Spectroscopic Survey(BOSS》のデータを組み合わせることで、系統誤差の影響を除去し、ダークエネルギーの性質を厳しく制限できることを示した。
公開されているSloan Digital Sky Surveyの銀河サーベイのクラスタリング統計量の観測と、有限質量ニュートリノの影響を含む宇宙構造形成の理論モデルを比較することで、3世代ニュートリノの質量和が0.81eV(95%C.L.)以下という上限値を導出することに成功した。この研究は、Saito,Takada & Taruya(2011)として査読論文に掲載されている。用いた構造形成の理論モデルでは、摂動論に基づき銀河のバイアスを無矛盾にモデル化しており、非線形銀河バイアスの影響も正しく考慮している。このため、得られたニュートリノ質量の制限は銀河バイアスの不定性を最大限考慮したものになっている点が新しい。この方法はすばる銀河サーベイに適用できる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画に従い、H23年度はすばる銀河サーベイの準備研究に専念した。特に、すばる銀河サーベイからえら得る宇宙論観測量から宇宙論パラメータを制限するための方法論を開発することができた。また、すばるデータを速やかに解析するためのデータ開発パイプラインの開発にも貢献した。これらの研究を進めるにあたり、頻繁に共同研究者との研究打ち合わせの場を持った。

今後の研究の推進方策

H24年度初めには、いよいよすばるHSCカメラはファーストライトを迎え、H24年度中には試験データが得られる。その試験データが得られ次第、データ解析パイプラインを適用し、HSCデータの性能評価を行う。また、それらのデータの性能評価の結果をもとに、すばる銀河サーベイのサーベイ戦略(スケジュール、領域、サーベイ法)を決定する。これらの研究を円滑に行うために、共同研究者との綿密な研究打ち合わせを行う。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Using galaxy-galaxy weak lensing measurements to correct the Finger-of-God2012

    • 著者名/発表者名
      C.Hikage, M.Takada, D.Spergel
    • 雑誌名

      Mon.Not.Roy.Astron.Soc.

      巻: 419 ページ: 3457-3481

    • DOI

      10.1111/j.1365-2966.2011.19987.x

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Dark Energy from the Log-transformed Convergence Field2012

    • 著者名/発表者名
      H.-J.Seo, M.Sato, M.Takada, S.Dodelson
    • 雑誌名

      Astrophys.J.

      巻: 748 ページ: 57(13)

    • DOI

      10.1088/0004-637X/748/1/57

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Impact of massive neutrinos on the abundance of massive clusters2012

    • 著者名/発表者名
      K.Ichiki, M.Takada
    • 雑誌名

      Phys.Rev.D

      巻: 85 ページ: 063521(17)

    • DOI

      10.1103/PhysRevD.85.063521

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Cross-correlating the thermal Sunyaev-Zel'dovich effect and the distribution of galaxy clusters2012

    • 著者名/発表者名
      W.Fang, K.Kadota, M.Takada
    • 雑誌名

      Phys.Rev.D

      巻: 85 ページ: 023007(11)

    • DOI

      10.1103/PhysRevD.85.023007

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Likelihood reconstruction method of real-space density and velocity power spectra from a redshift galaxy survey2011

    • 著者名/発表者名
      J.Tang, I.Kayo, M.Takada
    • 雑誌名

      Mon.Not.Roy.Astron.Soc.

      巻: 416 ページ: 2291-2310

    • DOI

      10.1111/j.1365-2966.2011.19203.x

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Cosmological and astrophysical neutrino mass measurements2011

    • 著者名/発表者名
      K.Abazajian, et al. (including M.Takada)
    • 雑誌名

      Astropart.Phys.

      巻: 35 ページ: 177-184

    • DOI

      10.1016/j.astropartphys.2011.07.002

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Simulations of Wide-field Weak-lensing Surveys. II. Covariance Matrix of Real-space Correlation Functions2011

    • 著者名/発表者名
      M.Sato, M.Takada, T.Hamana, T.Matsubara
    • 雑誌名

      Astrophys.J.

      巻: 734 ページ: 76(12)

    • DOI

      10.1088/0004-637X/734/2/76

    • 査読あり
  • [学会発表] すばるSuMIReプロジェクトで探るダークエネルギー2012

    • 著者名/発表者名
      高田昌広
    • 学会等名
      日本物理学会・春季大会・領域シンポジウム
    • 発表場所
      関西学院大(招待講演)
    • 年月日
      2012-03-24
  • [学会発表] Weak lensing cosmology2011

    • 著者名/発表者名
      M.Takada
    • 学会等名
      International Summer School "Weak and Strong Gravitational Lensing
    • 発表場所
      北京天文台、中国(招待講演)
    • 年月日
      20110723-20110803
  • [学会発表] SuMIRe HSC/PFS Project2011

    • 著者名/発表者名
      M.Takada
    • 学会等名
      Particle Cosmology
    • 発表場所
      名古屋大学(招待講演)
    • 年月日
      2011-12-16
  • [学会発表] Cosmology with SuMIRe HSC/PFS Surveys2011

    • 著者名/発表者名
      M.Takada
    • 学会等名
      International Conference "The Accelerating Universe"
    • 発表場所
      パリ天文台、フランス(招待講演)
    • 年月日
      2011-10-24
  • [学会発表] Subary Hyper Suprime-Cam project2011

    • 著者名/発表者名
      M.Takada
    • 学会等名
      Large Aperture Millimeter/Submillimeter Telescope in ALMA era
    • 発表場所
      Osaka Prefecture Univ.(招待講演)
    • 年月日
      2011-09-13

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公開日: 2013-06-26  

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