研究課題/領域番号 |
23340064
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
阿部 文雄 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 准教授 (80184224)
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研究分担者 |
米原 厚憲 京都産業大学, 理学部, 准教授 (10454472)
栗田 光樹夫 京都大学, 理学研究科, 准教授 (20419427)
内藤 博之 名古屋大学, 理学研究科, 研究員 (30547550)
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キーワード | 太陽系外惑星 / 重力レンズ / 光赤外天文学 |
研究概要 |
平成23年度も、MOAおよびOGLEグループによるマイクロレンズ事象アラートの中から、惑星の発見される可能性の高い高増光率事象および、惑星によると思われる変位の発見された事象について、集中的に観測を実施した。観測には、ニュージーランド・マウントジョン天文台の61cm望遠鏡、南アフリカ天文台の1.4m赤外望遠鏡を使い、さらに世界的な観測網を保有するPlanet,Robonet,MicroFUN,MINDSTEpなどにも呼びかけて追尾観測を実施した。取得したデータは、互いに持ち寄って国際協力でデータ解析を実施中である。この中から、すでに4個の惑星候補が発見されており、さらに詳細な解析が行われている。 過去に取得されたデータの解析も順調に進み、最終結果が出たものから順に公表している。 MOA-2009-BLG-387事象では、太陽質量の0.2倍程度の低質量の主星に、木星質量の2.7倍もの巨大惑星が付随していることが判明した。惑星形成の標準理論であるコア集積モデルでは、この様な低質量の主星の周りでは巨大惑星は生成しない筈であり、標準理論に疑問を投げかける成果である。また、MOA-2009-BLG-266では、太陽の半分ほどの主星に地球の10倍程度の惑星が付随しているものが発見された。これは、巨大惑星になりそこなった、海王星の様な氷惑星と考えられ、低質量のM型矮星の周りに多様な惑星が存在することを示している。また、バイナリ(連星)の質量比分布の解析を進め、M型矮星の周りでも「褐色矮星砂漠」が存在することを確認した。 京都産業大学-神山天文台の1.3m望遠鏡では、試験観測を行ってデータを取得し、データ解析などをテストし、本格的な観測の準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
部分的には、M型矮星まわりでの褐色矮星砂漠の確認など、計画以上に進展したものもある。しかし、印刷出版に至ってないないので、当初計画をおおきく上回ったとは言えない。
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今後の研究の推進方策 |
これまでのところ、研究は順調に進展していて、大きな問題点は見当たらない。しかしながら、マウントジョン天文台の61cm望遠鏡は、コントロールシステムが老朽化しており、制御に使用している古いタイプのパソコンの予備が無い。予算次第ではあるが、システムの更新を検討している。また、CCDカメラを3色ないし4色カメラに変更できれば、実質的に望遠鏡が3-4台に増えたのと同じ効果があり、観測精度が増すと同時に色の情報が取れる。このため、多色カメラ導入を検討し、予算獲得に努める。
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