研究課題/領域番号 |
23340069
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
長滝 重博 京都大学, 基礎物理学研究所, 准教授 (60359643)
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研究分担者 |
固武 慶 国立天文台, 大学共同利用機関等の部局等, 助教 (20435506)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ガンマ線バースト / ブラックホール / ニュートリノ / 重力波 / 磁気流体力学 / 輻射輸送 / 高密度状態方程式 / 一般相対性理論 |
研究概要 |
ガンマ線バーストの放射機構(爆発エネルギー、スペクトル、時間変動)を、中心エンジンまで遡って第一原理から解明します。本研究ではこの一連の過程を「ガンマ線バースト中心エンジン」、「相対論的ジェットの伝搬」、「ガンマ線伝搬過程」の3つのパートに分類し、それぞれのパートの研究精度を上げ、最終的にそれらを統合することにより、ガンマ線バースト放射機構に対する世界最先端の理解を目指します。パート1 「ガンマ線バースト中心エンジン」長滝が開発した一般相対論的磁気流体コードにより、大質量星に於けるガンマ線バースト形成のシミュレーションを行いました。重力崩壊の結果、高速回転しているブラックホールが中心に形成されたと仮定し、ブラックホールの回転エネルギーがBlandford-Znajek過程によってどの程度引き抜けるのかを検証しました。長滝は3次元コードを開発し、従来の2次元計算を更に上回るハイレベルの数値シミュレーションを実現しました。パート2 「相対論的ジェットの伝搬」長滝と、共同研究者の水田晃氏(KEK)により、相対論的なガンマ線バーストジェット伝搬のシミュレーションを行いました。またその光球面からの熱的放射の足し合わせを計算し、観測的に知られているガンマ線バーストの光度・エネルギー関係式をほぼ説明することが出来ました。またAsaf Peerも共同研究者に加わり、数値シミュレーションとモンテカルロ計算の結合に着手を始めました。パート3 「ガンマ線伝搬過程」長滝と、共同研究者の伊藤裕貴氏(京大)により、ガンマ線伝搬モンテカルロシミュレーションを行いました。結果として、ガンマ線バーストの特徴的なスペクトルの再現に成功しました。また偏向計算についても初期の成果を出すことが出来ました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究実績概要にありますように、全ての研究パートに於いて初期成果を挙げることが出来ました。また研究計画当初では想定していなかった、ガンマ線バーストの光度・エネルギー関係式の再現やガンマ線バーストの特徴的なスペクトルの再現に成功しました。そればかりか研究計画当初には予定していませんでした、偏向計算まで行うことが出来ました。これは日本のガンマ線バースト衛星イカロスがガンマ線バーストから偏向を受けたとの報告を行ったことを受けてのものです。タイムリーな話題に素早く対応することが出来ました。また研究計画当初には予定していませんでした、Asaf Peer氏との共同研究も開始することが出来ました。彼は我々のプロジェクト加入はこれまでの研究課題達成にも大きく寄与しましたし、今後も期待されます。
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今後の研究の推進方策 |
現在のところ当初の計画以上に研究は進展しています。しかし今年度に於いては、平成25年度は研究代表者が組織委員長を務める国際会議「Supernovae and Gamma-Ray Bursts 2013」の準備時期にさしかかります。この組織委員には研究分担者の固武氏、連携研究者の伊藤氏も含まれています。準備のために多少研究遂行の時間を割かれることも予想されるので、今後一層共同研究の連携を深め、研究の効率をあげると共に更なる共同研究者を募り、より確実に研究遂行することを目指します。一方で上記国際会議では新たに共同研究者に加わったAsaf Peerも来日する予定であり、それを利用して本計画を推進したく思います。
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