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2011 年度 実績報告書

第3世代クォークを用いた最高エネルギー実験での新現象探索とシリコン検出器開発

研究課題

研究課題/領域番号 23340070
研究機関大阪大学

研究代表者

花垣 和則  大阪大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (40448072)

研究分担者 波場 直之  大阪大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (00293803)
キーワードトップクォーク / ボトムクォーク / ヒッグス / LHC / シリコン検出器
研究概要

本研究では,LHC実験において,トップおよびボトムクォークの湯川結合定数測定を目指している。いずれの測定においても,ヒッグスがボトム反ボトムクォーク対に崩壊する事象を用いるので,ボトムクォーク起源のジェットを効率良く同定することが,ヒッグス発見能力,および崩壊比の測定精度の向上につながる。そこで,今年度は,LHC実験はデータ収集を始めて間もないことも考慮し以下の研究を行った。
1)ヒッグス探索において重要な背景事象であるトップクォーク対生成の断面積を測定した。0.7fb^<-1>のデータを用い,2つの孤立レプトンが存在する終状態を使い,さらにボトムクォークを同定することで,純度の高いサンプルを抽出,その生成断面積を
176±5(統計誤差)+14-11(系統誤差)±8(ルミノシティ不定性)pb
と求めた。重心系7TeVという人類未踏のエネルギーにおいても,QCDの予言能力が失われていないことを確認した。また,ボトムクォーク同定をする場合と,しない場合で無矛盾な結果が得られたことから,ボトムクォーク同定がバイアスなく動作していることを確かめた。
2)ボトムクォーク同定に重要な役割を果たすシリコンストリップ検出器の運転および較正。
3)より精度の高い測定を目指して,LHCおよびATLAS実験は2022年をメドにアップグレードを計画している。その際に交換されるシリコンピクセルおよびストリップ型検出器の開発に参画,特に,SiTCPと呼ばれるネットワーク技術を使ったフロントエンドからの信号読み出しシステムめ開発に取り組んだ。すでに読み出しに成功していたスドリップ型の検出器ではより実機に近い読み出しに移行し,また新たに取り組んだピクセル型でもフロントエンドASCIからのデータ収集に成功した。
4)LHCで検証可能な標準模型を越える模型構築に取り組んだ。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

LHCは安定して高いルミノシティを供給している。ATLAS検出器の較正と調整も予想以上に早く進んでいるため,物理解析は当初の計画よりも早く進展している。理論的な取組も予想通りの速度で進展している。一方,シリコン検出器開発においては,我々の行っている信号読み出しは当初の計画通りだが,試験すべき対象である検出器そのものの製作が予定よりもわずかに遅れている。以上を鑑み,おおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

当初予定に変更はない。解析においては,背景事象の精査から徐々にヒッグス探索に移行する。一方,シリコン検出器開発においては,開発した読み出しシステムの読み出し速度や信頼性をさらに高め,ビームテストで使用することを目指す。特に,試験すべきシリコンセンサーへのテストビームの入射位置を測定する参照用の検出器の開発に注力し,ビームテストを自前の検出器+読み出しシステムで行えるようにするのが最大の目標である。

  • 研究成果

    (16件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (7件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Parity Violation in QCD Process2012

    • 著者名/発表者名
      N. Haba, K. Kaneta, S. Matsumoto, T. Nabeshima and S. Tsuno
    • 雑誌名

      Phys. Rev. D

      巻: 85 ページ: 14007-1 - 7

    • DOI

      10.1103/PhysRevD.85.014007

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Measurement of the top quark pair production cross section in pp collisions at sqrt{s}=7 TeV in dilepton final states with ATLAS2012

    • 著者名/発表者名
      ATLAS Collaboration (G.Aad, K.Hanagaki, et.al)
    • 雑誌名

      Physics Letter B

      巻: 707 ページ: 459-477

    • DOI

      doi:10.1016/j.physletb.2011.12.055

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Measurement of the cross section for the production of a W boson in association with b-jets in pp collisions at sqrt{s}=7 TeV with the ATLAS detector2012

    • 著者名/発表者名
      ATLAS Collaboration (G.Aad, K.Hanagaki, et.al)
    • 雑誌名

      Physics Letter B

      巻: 707 ページ: 418-437

    • DOI

      doi:10.1016/j.physletb.2011.12.046

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Measurement of the cross-section for b-jets produced in association with a Z boson at sqrt{s}=7 TeV with the ATLAS detector2012

    • 著者名/発表者名
      ATLAS Collaboration (G.Aad, K.Hanagaki, et.al)
    • 雑誌名

      Physics Letter B

      巻: 706 ページ: 295-313

    • DOI

      doi:10.1016/j.physletb.2011.11.059

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Search for neutral MSSM Higgs bosons decaying to τ^+τ^- pairs in proton-proton collisions at sqrt{s{=7 TeV with the ATLAS detector2011

    • 著者名/発表者名
      ATLAS Collaboration (G.Aad, K.Hanagaki, et.al)
    • 雑誌名

      Physics Letter B

      巻: 705 ページ: 174-192

    • DOI

      doi:10.1016/j.physletb.2011.10.001

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Dirichlet Higgs in extra-dimension, consistent with electroweak data2011

    • 著者名/発表者名
      N.Haba, K.Oda, R.Takahashi
    • 雑誌名

      Acta Phys.Polon.B

      巻: 42 ページ: 33-44

    • DOI

      doi:10.1007/JHEP05(2011)125

    • 査読あり
  • [雑誌論文] v-Two Higgs Doublet Model and its Collider Phenomenology2011

    • 著者名/発表者名
      N.Haba, K.Tsumura
    • 雑誌名

      JHEP

      巻: 1106 ページ: 068-1-068-1,9

    • DOI

      doi:10.1007/JHEP06(2011)068

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Vacuum stability in neutrinophilic Higgs doublet model2011

    • 著者名/発表者名
      N.Haba, T.Horita
    • 雑誌名

      Phys.Lett.B

      巻: 705 ページ: 98-105

    • DOI

      doi:10.1016/j.physletb.2011.09.103

    • 査読あり
  • [学会発表] Development of SiTCP Based Readout System for Pixel Detector Upgrade in ATLAS Experiment2012

    • 著者名/発表者名
      Jia Jian Teoh
    • 学会等名
      日本物理学会第67回年次大会
    • 発表場所
      関西学院大学西宮上ヶ原キャンパス(兵庫県)
    • 年月日
      2012-03-25
  • [学会発表] ATLAS実験アップグレード用シリコン検出器読み出しシステムの開発2012

    • 著者名/発表者名
      遠藤理樹
    • 学会等名
      日本物理学会第67回年次大会
    • 発表場所
      関西学院大学西宮上ヶ原キャンパス(兵庫県)
    • 年月日
      2012-03-24
  • [学会発表] ATLAS実験シリコンストリップ飛跡検出器の較正2012

    • 著者名/発表者名
      岡村航
    • 学会等名
      日本物理学会第67回年次大会
    • 発表場所
      関西学院大学西宮上ヶ原キャンパス(兵庫県)
    • 年月日
      2012-03-24
  • [学会発表] ATLASアップグレード用シリコン検出器のビームテストに向けたビームプロファイルモニターの開発2012

    • 著者名/発表者名
      東野聡
    • 学会等名
      日本物理学会第67回年次大会
    • 発表場所
      関西学院大学西宮上ヶ原キャンパス(兵庫県)
    • 年月日
      2012-03-24
  • [学会発表] 最新結果を踏まえたコライダー実験の将来展望2011

    • 著者名/発表者名
      花垣和則
    • 学会等名
      日本物理学会秋季大会シンポジウム講演
    • 発表場所
      弘前大学文京町キャンパス(青森県)(招待講演)
    • 年月日
      2011-09-17
  • [学会発表] ATLAS実験アップグレード用シリコン検出器読み出しシステムの開発2011

    • 著者名/発表者名
      遠藤理樹
    • 学会等名
      日本物理学会秋季大会
    • 発表場所
      弘前大学文京町キャンパス(青森県)
    • 年月日
      2011-09-16
  • [学会発表] ATLAS実験におけるdilepton終状態,おうよびb-taggingを用いたttbar生成断面積測定2011

    • 著者名/発表者名
      廣瀬穣
    • 学会等名
      日本物理学会秋季大会
    • 発表場所
      弘前大学文京町キャンパス(青森県)
    • 年月日
      2011-09-16
  • [備考]

    • URL

      http://osksn2.hep.sci.osaka-u.ac.jp/atlas/index.php?language=japanese

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公開日: 2013-06-26  

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