研究課題/領域番号 |
23340079
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
土屋 清澄 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, その他部局等, 名誉教授 (20044787)
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研究分担者 |
増澤 美佳 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 教授 (10290850)
多和田 正文 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 准教授 (30300677)
菊池 章弘 独立行政法人物質・材料研究機構, 超伝導線材ユニット, 主幹研究員 (50343877)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 加速器 / 超伝導線材 / 超伝マグネット / Nb3Al 線材 |
研究概要 |
高磁場超伝導磁石用の大電流Nb3Alケーブルの製作を目指してNb3Al線材の開発・製作を進めた。その具体的内容は以下の通りである。1)試作を予定しているミラー型四極磁石用のNb3Al線材の製作のため、昨年度試みた六角シングルフィラメント法による前駆体製作をあきらめ、従来から行ってきた製作法に戻し、線材製作を進めたが、前駆体製造段階での伸線トラブルや安定化銅付着装置のトラブル発生によりケーブル製作を行うに十分な線材を確保出来なかった。然し乍ら、これらの経験から次回の線材製作に有益な知識(伸線工程におけるカセットローラダイスの使用方法や銅イオンプレーテイング工程でより強固な付着強度を得る方法など)を得ることが出来た。2)Nb3Al線材の電流密度改善を目指した研究では、2回急熱急冷法による線材製作を行い、その線材の特性研究を行った。電流特性の向上には至っていないが、Nb3Al線材の電流密度特性に影響を与える因子の解明を目指して、線材の微視的構造の調査研究を進めている。また、この研究の中で、線材の電流密度の磁場依存性を調べるため大電流のIc測定が出来るサンプルホールダーを開発した。3)Nb3Al前駆体線材の製作性向上を目指した研究として、銅マトリックス線材の開発を進めた。この線材の製作性は非常に良くほとんど無断線で前駆体線材が製作出来ることが分かったが、電流密度特性の改善が必要であることが明らかとなった。4)鞍型コイル磁石の設計確認として、米国フェルミ国立加速器研究所が製作したNb3Sn磁石の設計情報を基にNb3Al磁石の磁場計算を行った。コイル電流密度とコイル内最大磁場などの関係がわかり、鞍型コイル磁石の試験案を検討する準備が整いつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
高磁場Nb3Al超伝導磁石用の大電流ケーブルの開発で必要となる線材の製作を進めたが、前駆体製造時の伸線工程におけるダイス条件設定トラブル及び安定化銅付着工程での予期せぬトラブルによりケーブル製作に必要な線材長を確保することができず、ケーブル試作を断念した。次年度は、これらの経験を基に万全の対策を施し、再度ケーブル試作に必要となるNb3Al線材の製作を試みる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
現在のところ、Nb3Al線材の長尺無断線製造法の確立は困難であるが、計画したミラー型超伝導四極磁石の試作に必要となる程度の線材(~100 m x 27本)の製造は可能と考える。従来経験したことがなかったトラブルが発生したため、平成24年度の研究はかなり停滞したが、トラブルの原因究明とその対策が完了したので、平成25年度はミラー型超伝導四極磁石の試作に必要となるNb3Al線材の製作を再度試みる。
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