リラクサー強誘電体は幅広い温度領域において非常に大きな電気的応答を示すことがよく知られているが,その物理的起源は明らかではない.本研究では1GHz~数THzまでの広い帯域に渡る光散乱分光を行って,これまであまり注目されてこなかった単結晶における自己相似構造(フラクタル)とそのダイナミクスについて,リラクサーの巨大誘電応答 との関連性を考察した.その結果,多くのリラクサー物質で広帯域光散乱スペクトルがフラクタルに特徴的なべき乗則に従うことが確認された.フラクタルの実体はnmサイズの分極領域の集合体であり,リラクサーでは普遍的にナノ分極域のフラクタル性によってその応答を理解できることがわかった.
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