研究課題/領域番号 |
23340084
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
舛本 泰章 筑波大学, 数理物質系, 教授 (60111580)
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研究分担者 |
池沢 道男 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (30312797)
冨本 慎一 筑波大学, 数理物質系, 助教 (90396599)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ZnO / 等電子トラップ / 電子スピン / 単光子発生 / 時間分解カー回転 |
研究概要 |
<GaAs:N中の単一不純物発光中心の位相緩和時間のフーリエ分光測定> 発光エネルギーの揃った単一光子源と期待される、窒素をドープしたGaAs中の単一不純物発光中心からの単一光子発生を観測した。次に、温度2 KでGaAs:Nに対してフーリエ分光測定により求めた不純物窒素に束縛された励起子の位相緩和時間は370psと長いが、発光寿命により決まるフーリエ変換限界と比べて若干短い。その原因の一つは非共鳴励起により生成される余剰キャリヤーのため、スペクトル拡散が起こっていると考えられる。 <ZnO中の電子スピンの長時間コヒーレンス> 量子情報処理において、光で書き込み読み出しができる半導体中の電子スピンに要求されるのは、長時間のスピンコヒーレンスである。半導体中の局在電子スピンの横緩和時間(T2)は核スピンとの超微細相互作用を通して働く核磁場の揺らぎに律速されるので、核スピンがゼロの核の自然存在比が大きいZnOでは、長い電子スピンの横緩和時間が期待される。Gaを6×1017cm-3の濃度でドープしたZnO薄膜中の束縛励起子D0Xに共鳴励起下で電子スピンのスピンコヒーレンスを時間分解カー回転測定法により計測し、12nsと長い時間を得た。電子スピンのコヒーレンス時間はモード同期レーザーの繰り返し時間12.2nsに匹敵し、共鳴スピン増幅の手法を用いてT2*=12nsの緩和時間が温度T=1.8Kで得られた。縦磁場をゼロ磁場付近で掃引してカー回転を計測しゼロ磁場付近で観測されたディップの半値半幅は核スピン磁場の揺らぎの大きさを示し、1.3mTと求まる。1.3mTから核磁場の揺らぎによる電子スピンの緩和時間は13nsと見積られ、実測緩和時間と概ね一致する。 観測された緩和時間は、III-V族半導体量子ドット中の電子のスピンのコヒーレンス緩和時間に比べ1桁長い。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
GaAs:N単一等電子トラップ(NNペア)の位相緩和時間のフーリエ分光測定を論文として発表し、GaAs:N単一等電子トラップが超コヒーレントな単一光子を発生する事を明らかにした。また、InP量子ドット中にドープされた電子のスピン緩和に新たな輻射減衰いの機構を見いだしこれを論文として発表した。更に、ZnO中の電子スピンの長時間コヒーレンスを見いだしたので当初の計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
超コヒーレントな単一光子を発生する単一発光中心の共鳴励起、および、ZnO中の電子スピンの長時間コヒーレンスの観測を論文として発表する。
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