研究概要 |
本研究は,THz領域変調分光装置を開発し,半導体ナノ構造薄膜を主対象として,励起子やキャビティ-ポラリトンによるコヒーレント波束の生成・緩和ダイナミクスを明らかにすることを目的としている。 本年度において,THz放射,THz反射およびTHz領域の変調分光が同時に測定できるTHz領域変調分光装置を開発し,その性能評価を行った。開発したTHz領域変調分光装置の性能として、約0.5~6THzまでの領域の分光スペクトルを得ることができた。今後は、S/Nを向上し、周波数領域を広げる予定である。 CuCl微小共振器中のキャビティ-ポラリトンの緩和ダイナミクスを明らかにすることを目的に、CuCl微小共振器の作製を行い、角度分解反射スペクトルを測定した。その結果、作製したCuCl微小共振器のキャビティ長を変えることで、Z_<12>励起子に対しラビ分裂エネルギーを約150~230meVの範囲で、Z_3励起子に対しラビ分裂エネルギーを約100~135meVの範囲で制御できることがわかった。また、サファイア基板上のCul薄膜では観測されないテラヘルツ領域のコヒーレント横光学(TO)フォノンにおいて、金ナノ薄膜上にCuI薄膜を作製することで、コヒーレントTOフォノンが観測されることを初めて見出した。さらに、アントラセン結晶をナノ領域のサイズにし、自由励起子による再吸収効果を低減することで、ダビドブ分裂した高エネルギー側の励起子からの発光を見出した。
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