研究課題/領域番号 |
23340089
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
館山 佳尚 独立行政法人物質・材料研究機構, ナノシステム構築ユニット, グループリーダー (70354149)
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研究分担者 |
隅田 真人 独立行政法人物質・材料研究機構, ナノシステム構築ユニット, NIMSポスドク研究員 (30512587)
袖山 慶太郎 独立行政法人物質・材料研究機構, ナノシステム構築ユニット, NIMSポスドク研究員 (40386610)
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キーワード | 物性基礎論 / 表面・界面物性 / 触媒・化学プロセス / 化学物理 / 計算物理 |
研究概要 |
(A)閉空間電子数に対するconstraint schemeを用いたDFT分子動力学(MD)解析については、研究協力者であるDr.Jochen Blumberger博士(University College London)らが開発しているプログラムについて検証を行いました。先行研究によって得られた二酸化チタン(TiO2)表面のナノ構造に対して、このconstraint schemeを利用できることを確認した。ただし、移動する電子の広がりが大きくなり適用不可になる可能性もまだ残されているので、その条件出しに取り組んでいる所である。 (B)空間分割第一原理計算手法を利用したconstraint schemeの開発についてはQM/MM法を利用した計算手法の開発をほぼ終了し、検証作業に入った。QM/MM手法に関してはQM領域を複数持てるように計算コードを改良し、ドナー、アクセプター及びその水和水を包含するQM領域をそれぞれ作成し、その間での電子移動過程を表現することを試みた。QM/MM手法としては、比較的扱いやすいsubtract schemeを採用した。そのテスト系として水溶液中の遷移金属(鉄など)錯体系の電子移動を用いた。まずはじめにドナー・アクセプターと溶媒分子の古典分子力場を作成して制度検証を行った。続いてdonor-acceptor間の電子移動過程の始状態(例えばDA)と終状態(例えばD+A-)を準備し、Marcus energy gapのMDサンプリングを実行した。その統計平均からdonor-acceptor間電子移動の反応自由エネルギーと再配置自由エネルギーが得られたが、その妥当性について現在吟味中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2011年3月11日の地震以降、研究環境の再構築等を行わなければならず、またスーパーコンピューターの停止が夏頃まで続いた関係で、計算の進展も遅れ気味となっている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は地震による影響も解消されたので、予定通りドナー・アクセプター電子移動反応向けので第一原理計算手法の実証に一区切りをつけることを目標に研究を進めて行く。ただ「京」コンピューターの一般公開に伴い、基礎研究よりも実用材料の実用系の研究プロジェクトに比重を置かなければならない所もあり、そこは研究分担者と課題の分担をうまく図ることにより対処して行く予定である。
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