研究概要 |
1.高対称GaAs量子ドットの試料作製:AlGaAsの(111)A面を基板面に用いて液滴エピタキシー法でGaAs量子ドットを作製し,結晶化温度を調節することで六角形ピラミッド構造から3角形ピラミッド構造まで形状制御できることを見出した。原子間力顕微鏡測定によりドットの立体構造と側面の結晶面方位が決定できた。また,Gaの供給量を調節することにより,単一ドット分光が可能な程度までドットの面密度を低減できた。 2.微細構造分裂の単一ドット分光法による評価:(111)A基板上に形成したGaAs量子ドットについて単一ドット分光を行い,高対称性を反映したたいへん小さな微細構造分裂幅(10μeV)を観測した。 3.多体系の束縛エネルギーのドット形状・ドットサイズ依存性の理論解析:電子とホールのエネルギー準位を有効質量近似を用いて有限要素法で算出した。1体の波動関数をベースにして,配置間相互作用の方法に従って励起子などの多体系の波動関数を展開し,クーロンポテンシャルの行列要素を算出した。今後,励起子とトリオンの束縛エネルギーの評価を進める。また,量子ドットの関連材料で最近,試料合成が報告されたII-VI族半導体量子テトラポッドについても,配置間相互作用の方法で励起子準位の解析を進めた。特に,CdS/CdSeコア・シェル型テトラポッドについて,試料構造に不可避的に存在するランダムネスが電子とホールの局在性を高めて,最低励起子準位の光学遷移確率を極めて小さくすることを見出した。
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