研究実績の概要 |
希土類プニクタイドは、金属-絶縁体転移、非フェルミ液体的振舞、非BCS超伝導体、多極子転移など強相関電子系特有の多彩な異常物性を示す物質が多く含まれており、物性研究者にとって魅力的な物質群である。しかし、リン、ヒ素などの蒸気圧の高い元素と高融点の遷移金属元素、希土類金属元素の組み合わせからなるプニクタイドの合成は非常に困難である。特に詳細な物性研究に不可欠な純良単結晶の育成は、極めて困難である。このような物質の合成に高圧合成法は強力な手段の一つである。本研究では、新たな高圧合成システム(6-6型高圧システム)を開発することにより、高圧環境下における試料の合成条件、単結晶育成条件を迅速に決定し、効率的な新物質探索を可能にする。さらに、開発したシステムを用いて、新奇希土類プニクタイドを創製し、特異な超伝導や磁性の発現を目指すことを目的とした。 6-6型高圧システムの技術開発を進め、その実験技術を確立した。この新システムを用いた高温高圧下X線その場観察実験を高エネルギー加速器研究機構などの大型放射光施設において実施し、多くの新物質開発につながる情報を得ることに成功した。これらの情報を基に大型プレスを用いた高圧合成法により、新規充填スクッテルダイト化合物 BaOs4P12、CaOs4P12,SrOs4As12の合成に成功した。また、これらの化合物は新超伝導体であることを見出した。さらに、層状希土類リン化物 YZn3P3、DyZn3P3 の高圧合成にも成功した。
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