研究課題/領域番号 |
23340100
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
佐々木 重雄 岐阜大学, 工学部, 教授 (30196159)
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研究分担者 |
久米 徹二 岐阜大学, 工学部, 准教授 (30293541)
奥地 拓生 岡山大学, 地球物質科学研究センター, 准教授 (40303599)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 物性実験 / 分子性固体 / ガスハイドレート / ラマン散乱 / ブリュアン散乱 / NMR / 高圧 |
研究概要 |
本研究では,ラマン・ブリュアン散乱およびNMR分光測定より,メタン,エタン,プロパンをゲストとする混合ガスハイドレートおよび重水素化メタンハイドレートのゲスト分子占有状態を調べるとともに,それらの弾性定数の圧力依存性を決定する.これを実現するために平成24年度では以下の研究を行った. (1)メタンハイドレートのダイヤモンド・アンビル・セル(DAC)-NMR実験装置の調整:平成23年度には13Cの核種に対応した高周波増幅器(5-220 MHz)によるNMR分光装置の検出回路系の再構築を行った.これに引き続き,NMR測定用DACで作製したメタンハイドレート単結晶のNMR分光測定を実際に可能とする高周波電気回路の構築およびその高効率化のための調整を行った.高周波回路の調整は非常に高度な技術を要するが,概ねメタンハイドレートのDAC-NMR測定を行うための準備を整えることに成功した.また,NMR測定用DAC中のメタンハイドレートの高分解能高感度ラマン散乱測定を行い,試料の結晶状態の確認を行うことにも成功した. (2)メタン-プロパン混合ガスハイドレートの高圧ブリュアン散乱測定:平成23年度に確立した混合ガスハイドレートの単結晶作製技術を用い,sII相であるメタン-プロパン混合ガスハイドレートの単結晶を作製し,そのDAC-高圧ブリュアン散乱測定を行った.その結果,メタン-プロパン混合ガスハイドレートsII相の弾性的性質の圧力依存性を決定することに成功し,sI相のメタンハイドレートと弾性的性質が異なることを見出した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度に計画していた研究は概ね完了し,当初通りの平成25年度研究計画を遂行できる状態にある.
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に得た成果をもとに,平成25年度は重水素化メタンハイドレート単結晶のNMR測定,メタン-エタン,メタン-プロパン混合ガスハイドレートおよび重水素化メタンハイドレート単結晶のラマン・ブリュアン散乱測定を行い,最終的にメタン,エタン,プロパン系混合ガスハイドレートおよび重水素化メタンハイドレートの弾性的性質とゲストガス分子のホスト水ケージ占有状態との関係を明らかにする.以下に平成25年度の研究計画について示す. (1)高圧ラマン散乱測定より重水素化メタンハイドレートの構造およびその存在圧力領域を評価したうえで,そのNMR分光測定を行い,ゲスト重水素化メタン分子のホストケージ占有状態の評価を行う. (2)平成23-24年度に確立した混合ガスハイドレート単結晶作製技術を用い,メタン-プロパン混合ガスハイドレート(sII相),メタン-エタン混合ガスハイドレート(sI相, sII相),重水素化メタンハイドレート(sI相,sH相)の単結晶を作製し,DAC-高圧ブリュアン散乱測定よりそれら単結晶の弾性的性質の圧力依存性を決定する.なお,ゲストガス分子のホストケージ占有状態はゲスト分子のラマンスペクトルより予め評価しておく. (3)総括:以上の結果をまとめ,最終的に各混合ガスハイドレート(sI, sII)および重水素化メタンハイドレートsI相,sH相のホスト水ケージのゲスト占有状態と弾性定数の圧力依存性を決定し,ガスハイドレートsI,sII,sH 相におけるゲスト分子の構造安定性への役割を明らかにする.また,天然ガスハイドレートはsI,sII,sHの3つの構造を有するため,今回の結果をもとに任意のゲストガス,任意の構造に対する構造安定性を評価するための手法を構築する.
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