研究課題/領域番号 |
23340101
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤原 直樹 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 准教授 (60272530)
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研究分担者 |
上床 美也 東京大学, 物性研究所, 准教授 (40213524)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 高温超伝導 / 核磁気共鳴 / 高圧技術 / 磁性 / 相転移 / 鉄砒素系化合物 / スピン密度波 |
研究概要 |
鉄砒素系超伝導体では、相図上反強磁性(スピン密度波)相と超伝導相が隣接し、交差する領域もある。スピン揺らぎを介した超伝導発現機構がしばしば指摘されるが、軌道が電子対形成に大きな役割を果たしているという理論もあり、現在超伝導の発現機構にかかわる争点となっている。双方の理論では、反強磁性(スピン密度波)相と超伝導相の境界領域で現れると予想される現象に違いがある。前年度示したことは、Ca(Fe1-xCox)AsF では、相境界の電子ドープ領域において、反強磁性と超伝導秩序変数が共存することから、スピン揺らぎを介した超伝導が実現している可能性が高いこと、LaFeAsO1-xFxでは、常圧では反強磁性と常磁性状態、3万気圧下では反強磁性と超伝導状態が相分離して現れることから、軌道揺ぎを介した超伝導が実現している可能性が高である。 更に、LaFeAsO1-xFxの過剰電子ドープ領域では、スピン揺らぎが弱いにもかかわらず高い超伝導転移温度を保持しているため、軌道揺らぎを介在した高温超伝導の実現可能性がある。本年度は、軌道揺らぎによる超伝導の可能性をさらに探究する目的で、新発見されたLaFeAsO1-xHxの研究に着手した。この物質は一見、LaFeAsO1-xFxのFをHで置換しただけのように思えるが、最大置換量がF系ではx=0.2であるのに対してH系では、x=0.6となるため、過剰電子ドープ状態を調べるためには、F系より適している。この系の過剰電子ドープ領域において、核磁気共鳴を行ったところ、線幅の広がりから反強磁性磁気秩序相が存在することを発見し、鉄砒素面内の電場勾配の異方性の増大から電子軌道秩序の可能性があることが分かった。鉄砒素系超伝導体の過剰ドープ領域での磁気秩序相の存在は、本研究によってはじめて発見された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画した通りのタイムスケジュールで結果がでており、実際に学術誌への投稿、出版が順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度、水素核、ヒ素核についてLaFeAsO1-xHxの核磁気共鳴を行って、磁気秩序相が現れることを発見したが、本年度はヒ素核の核四重極共鳴の測定を視野に入れている。核磁気共鳴との違いは、常磁性状態での線幅が広がらないことである。この結果、緩和率の正確な測定が可能となり、相転移点を正確に求めることができる。また緩和率より磁気秩序相において電子状態は空間的に均一かどうかも推測することが可能となる。
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