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2011 年度 実績報告書

光パルス励起テラヘルツFT-ESR法によるダイナミックスピン系の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23340103
研究機関神戸大学

研究代表者

河本 敏郎  神戸大学, 理学研究科, 准教授 (70192573)

キーワード光物性 / 磁気共鳴 / レーザー
研究概要

非線形光学結晶ZeTeを用いたテラヘルツパルス光源を製作した。テラヘルツ生成光には現有のフェムト秒レーザー再生増幅システムの出力(800mm,150fs,1mJ)を利用し,800mmの波長に対して位相整合が実現可能な(110)面のZeTe結晶にレーザー光を照射し,光整流作用によって帯域0.1~2.5THzのモノサイクルテラヘルツパルス電磁波を発生させることができた。透過型配置の測定では過渡吸収スペクトルを取得できる。吸収が非常に強く,テラヘルツ波が透過してこないような試料に対しては,反射型配置による過渡反射スペクトルを取得することができる。
放物面ミラーを使ったテラヘルツ光学系を組み,非線形光学結晶ZeTeの光整流作用を利用したEOサンプリング法を用いて,試料透過後のテラヘルツ電磁波の超高速時間波形をサンプリングするテラヘルツ電場波形測定器を製作した。得られた時間波形のフーリエ解析から,試料のテラヘルツ磁気共鳴過渡吸収スペクトルが得られる。空気中の水分子による吸収を取り除くため,装置全体を乾燥空気生成装置によるパージを行った。同期させた光チョッパーでテラヘルツ生成光をショット毎にオンオフし,ロックインアンプを用いた高感度検出を行った。サンプリング光の入出力をサンプルアンドホールドして除算規格化する回路を製作し,検出感度の向上をはかった。また,光遅延制御と高速フーリエ変換処理を行う自動制御処理システムを製作した。
光パルス励起テラヘルツ検出分光法を用いて,光励起した状態のシリコンのキャリアダイナミクスを調べた。誘電関数と伝導度の光励起による変化が,弱励起と強励起および温度によって異なることが確認できた。また,励起子の1S-2P遷移の振る舞いから励起子の減衰を直接観測することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

テラヘルツ時間領域分光システムを製作し,予備実験として,光照射下のシリコンにおける光パルス励起テラヘルツ検出の測定を行うことができた。予算の全額執行許可が秋にずれ込んだため,低振動極低温冷凍機の納入が年度末になり,光照射下のダイナミクスを解明する温度可変テラヘルツ分光装置の実質的な使用は24年度からとなった。

今後の研究の推進方策

23年度は,ZeTe結晶を用いてテラヘルツ電磁波を発生させたが,24年度は,最近注目されているLNbO_3結晶におけるチェレンコフ型の光整流法を用いた高強度のテラヘルツパルス光源を製作し,テラヘルツ波による非線形現象の観測も目指していきたい。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] テラヘルツ時間領域分光法を用いたマイクロ秒領域におけるシリコンの光励起ダイナミクス2011

    • 著者名/発表者名
      守安毅,若林傑,河本敏郎
    • 雑誌名

      光物性研究会論文集

      巻: 22 ページ: 33-36

    • URL

      http://phys.ipps.kumamoto-u.ac.jp/HIKARI/2011/index.html

  • [雑誌論文] Photoinduced dynamics in pure and Ca-doped SrTiO_3 studied by transient birefringence and absorption measurements2011

    • 著者名/発表者名
      T.Kohmoto, Y.Koyama, T.Moriyasu, H.Okamura, Y.Yamada, K.Tanaka
    • 雑誌名

      J.Phys.Soc.Jpn.

      巻: 80 ページ: 104605

    • DOI

      10.1143/JPSJ.80.104605

    • 査読あり
  • [学会発表] THz-TDSを用いたマイクロ秒領域におけるシリコンの光励起ダイナミクス2012

    • 著者名/発表者名
      守安毅, 若林傑, 河本敏郎
    • 学会等名
      日本物理学会
    • 発表場所
      関西学院大学
    • 年月日
      2012-03-25
  • [学会発表] コヒーレントフォノン分光およびテラヘルツ時間領域分光法によるKMnF_3の相転移の観測2011

    • 著者名/発表者名
      守安毅, 若林傑, 枡井誠, 阿部素也, 田中清明, 河本敏郎
    • 学会等名
      日本物理学会
    • 発表場所
      富山大学
    • 年月日
      2011-09-23

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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