研究課題/領域番号 |
23340112
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
初貝 安弘 筑波大学, 数理物質系, 教授 (80218495)
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研究分担者 |
青木 秀夫 東京大学, 理学系研究科, 教授 (50114351)
島野 亮 東京大学, 理学系研究科, 准教授 (40262042)
河原林 透 東邦大学, 理学部, 教授 (90251488)
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キーワード | グラフェン / 量子液体 / テラヘルツ分光 / ベリー接続 |
研究概要 |
平成23 年度は実験、理論の各分担者の間で緊密な議論を集中して行い、各グループ間での共同体制の構築を行った。具体的な成果としては、理論班としては、ベリー接続の理論を拡張しZQ量子化の一般論を構築した。続いてその理論をカゴメ格子、パイロクロア格子上の電子系に対して適用し多量体化を記述するトポロジカルな秩序変数を用いた相の分類を行ない、量子化するトポロジカルな秩序変数の断熱不変量としての有効性を示した。また、グラフェンのトポロジカルな側面に着目した研究を行い、国際会議にてこれまでの研究のレビューを招待講演にて講演した。「バルク・エッジ対応」の観点からは、磁場下グラフェンのジグザグ端の局在状態に対して、我々が提案しているトポロジカル補償の概念を確認した。また、カイラル対称性に着目しグラフェンの乱れの効果を研究し磁場下におけるゼロエネルギーのランダウ準位の特異な振る舞いを数値計算を用いつつ解明した。さらにはグラフェンにおける電子相関の問題に関して、カイラル凝縮相としての新しい視点を持ち込み、理論的な研究を進め、グラフェンの電子相関に関する今後の展開の基礎を構築した。一方実験班では、試料設計、およびその基礎評価を中心として研究を進め、磁場下にあるグラフェン量子液体相の動的な電子相間効果を調べるためにグラフェンの低温磁場下テラヘルツ分光測定の基礎をつくった。 また、分担者、連携研究者の他に海外からの関連研究者をまねいて研究会を以下の通りに2回開催した。 第1回. Get together Meeting (Informal) 2011年5月23日(月)13:00から 東大理学部1号館9階、933号セミナー室 第2回. Quantum liquids and graphene physics (English) 2012年2月16日(木)13:00から 筑波大学総合研究棟B棟、B107
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は研究計画初年度ではあるが、現在までの研究の履歴の上に理論班を中心に具体的な成果を論文発表するとともに、長期的な観点から理論の深化のための研究も行った。実験班は本研究で計画している実験の基礎的な準備を順調に行った。特に、本基盤研究主催で研究会を開催し、他の実験グループとの研究交流を行い、将来の具体的な研究交流の基礎をつくった。 また、過去の研究履歴もあって、初年度から複数の招待講演を含み論文発表も行うことができたう上、実験班と理論班との研究交流も順調に進展した。よって客観的にみても当初の計画以上に研究は進展したと評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
研究はメンバー間の学術交流も実験グループを含めて計画通り着実に進展しており、当初の研究計画にそって着実に進めていく予定である。また、本基盤研究主催で開催した研究集会で他の実験グループとの意見交換を行い、将来の本基盤研究実験班において必要なグラフェンの試料提供等につながる研究交流の基礎が構築できたので、次年度以降はより具体的な研究につなげる予定である。
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