研究課題/領域番号 |
23340125
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田中 愛幸 東京大学, 地震研究所, 助教 (90508350)
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研究分担者 |
田村 良明 国立天文台, 大学共同利用機関等の部局等, 助教 (90150002)
今西 祐一 東京大学, 地震研究所, 准教授 (30260516)
名和 一成 独立行政法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (20262082)
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キーワード | 地震 / 重力 / スロースリップ / 地殻流体 / 測地 |
研究概要 |
沖縄県八重山地方における重力計ネットワークの構築が予定どおり完了し、概ね均質な連続観測データが得られている。設置した重力計は絶対重力計2台と超伝導重力計1台である。石垣島・表西島に台風が訪れる時期が終わるのを待って、絶対重力計2台については2011年11月に設置作業を行い、国土交通省国土地理院が所有する1台を石垣島地方気象台地震計室に、東京大学地震研究所が所有する1台を琉球大学西表研究施設標本室に設置した。名古屋大学犬山観測所の超伝導重力計1台は筑波大学でオーバーホールしたのち、2012年2月に国立天文台VERA石垣局の局舎内に移設した。これら3台の同時観測により、10億分の1G(絶対重力計)-1000億分の1G(超伝導重力計)(1G=9.8 ms^2)の極めて高い精度をもつ貴重な重力データが蓄積されつつある。スロースリップの研究を目的とし、これらの超精密機器を利用して連続観測のネットワークを構築したのは世界でも初めてである。しかも離島というアクセスの困難な地域においてである。この地域でのスロースリップは約半年に一度発生しているが、2011年11月から2012年3月の間にはスロースリップが発生しなかったため、スロースリップ中の重力変化はまだ1度も捉えられていない。そこで、本年度はスロースリップが起きていない時期のデータをもとに、大気・海洋・地下水が重力変化に及ぼすノイズについて検討を開始した。これらのノイズの除去は後にスロースリップによる重力変化を抽出する際に重要となる。ノイズを評価するための土壌水分や降雨等の気象データについても、それぞれの観測点において取得を開始した。現在、重力データ、土壌水分データ、気象データを統合して地下水によるノイズのモデリングを行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画書では次のことを行う予定であった。 (観測-1) 石垣島における超伝導重力計の設置及び連続観測の開始 (観測-2) 西表島における可搬型絶対重力計の設置及び連続観測の開始 (観測-3) 両島での地下水観測の開始 これらは最終的には達成し、現在も観測を継続している。しかしながら、超伝導重力計、絶対重力計、土壌水分計に予期しない機械的な不良が発生したため、観測データの質が一時的に低下することがあったが比較的速やかに対処することができた。なお、来年度実施予定のノイズのモデリングは平成23年度から一部開始した。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、観測の精度をできるだけ高い状態で維持し、スロースリップによる信号を捉えるとともに、大気・海洋・地下水などのノイズの評価を進める。これらのノイズの補正モデルを構築していくことで、スロースリップによる信号を適切に抽出する。観測精度の維持ついては、平成23年度に発生したトラブルの対処から得た経験を最大限活用し、仮に同様のトラブルが発生した場合には迅速に解決できるようにする。
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