研究課題
プレート沈み込み境界では巨大地震が繰り返し発生しているが,その断層面の深部延長の深さ30 kmでは,スロースリップと呼ばれるゆっくりした断層すべりが観測されている.スロースリップは巨大地震に比べて早い間隔で繰り返すが,スロースリップが大地震発生帯に及ぼす応力変化が,最後の一押しとなって大地震の引き金となる可能性が指摘されてきた.そのため,スロースリップのメカニズムを明らかにし,予測することは大地震発生の予測につながる.スロースリップの発生する要因の一つとして,深さ30 km付近には沈み込む海洋プレートの含水鉱物から脱水反応により生じた流体が断層破砕帯に溜まっており、この流体の圧力によって断層強度が弱まっていることが挙げられる.さらに,スロースリップの発生によって断層破砕帯内にこの流体の流れが生じ,圧力が変動するというモデルが提唱されている。このモデルによれば,流体圧が高まったときに,スロースリップが,そうでないときに比べ早く起きることになる.しかし,そのような流れはまだ現実のスロースリップに対しては捉えられていない.そこで,本研究では超高精度な重力計を用いることで、流体の流れに伴う微小な重力変化を捉えることを目指した.半年に1度という世界で最も高頻度にM7規模のスロースリップが発生している沖縄県八重山地方に2台の絶対重力計と1台の超伝導重力計を設置し,平成24年5月と12月に発生したスロースリップの期間中に3点で同期した2―6マイクロガル(1マイクロガル=地球上の平均重力加速度の10億分の1)の重力変化を観測することに世界で初めて成功した.なお,地下水等によっても重力変化が生じるため,これらを除くモデルの開発と,流体移動の証拠を増やすために観測を現在も継続している.
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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