火星にはかつて強い磁場があり、液体の水が大量に存在していたことなどから、生命が誕生していた可能性があると議論されている。本研究は将来の火星生命探査も視野に入れ、海や温暖湿潤気候という観点から火星固有の水循環の様式について多角的に検討した。特に海仮設の大きな矛盾点とかねてから指摘されていた海岸線の欠如という問題点については、へスペリア代に発生した巨大津波による地形改変の証拠を見つけることに成功し、長年続いた論争に終止符を打つことができた。地下に大量に蓄積された水(氷)がアウトフローチャネルの形成に本質的に重要であったことなども明らかにし、将来の探査計画における着地点候補もまとめることができた。
|