研究課題/領域番号 |
23340135
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
深町 康 北海道大学, 低温科学研究所, 准教授 (20250508)
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研究分担者 |
青木 茂 北海道大学, 低温科学研究所, 准教授 (80281583)
松村 義正 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (70631399)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 南極海 / 南極底層水 / 海氷 |
研究概要 |
2008-09年に南極海インド洋セクターのケープダンレー沖の斜面域で取得した係留観測による海洋の時系列データの解析結果をまとめ、人工衛星による海氷データ、ゾウアザラシのバイオロギングによる海洋データの解析結果と合わせて、この海域で沿岸ポリニヤでの高い海氷生産に起因したローカルな南極底層水の生成が起こっており、ウェッデル海、ロス海、アデリーランド沖に続く、第4の主要な南極底層水の生成域であること示し、論文を発表した (Ohshima, Fukamachi and Williams et al., 2013, Nature Geoscience)。特に、ケープダンレー沖の海域が他の3つの生成域とは異なり、広い大陸棚、棚氷、大きな窪地の全てが存在しないにも関わらず、高い海氷生産のみによって主要な生成域となっていることは特筆に値する。また、この成果は、極域科学シンポジウムにおいて招待講演としても発表した。 2010-11年にケープダンレー沖の陸棚域で取得した係留観測による海氷の時系列データについては、海氷の厚さの精度を向上させるための様々な処理を実施した。 2012年11月から2013年3月にかけて、第54次日本南極観測地域観測隊に研究代表者の深町と研究分担者の松村が参加し、砕氷艦「しらせ」により2012年3月に設置する予定であったもののシップタイム不足のためにキャンセルとなっていた陸棚域における海氷や高密度陸棚水をターゲットとした係留系(3系)の設置を実施した。また、この航海ではケープダンレー沖の斜面域におけるXCTD観測や海底地形測量についても実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2008-09年に取得した係留観測データについては、衛星観測による海氷データ、船舶およびバイオロギングよる海洋データと合わせて結果をまとめ、著名な国際誌 (Nature Geoscience誌) に発表することが出来た。 2010-11年にケープダンレーポリニヤ内の陸棚域で取得した海氷・海洋の係留観測データについては、その解析が着実に進んでいる。 日本南極地域観測隊の航海では、陸棚域での係留系については予定通りに設置出来たが、2011年2月に設置した斜面域の係留系については水中切離装置の不具合のために回収が出来なかった。
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今後の研究の推進方策 |
2008-09年に取得した斜面域での係留観測データについては、第1報は発表したものの、更に詳細な解析を行う必要があるので、その結果をまとめる作業を行う。また、2010-11年に取得した陸棚域での係留観測データについても、更なる解析を進め、結果をまとめて、国際誌への投稿論文の原稿を作成する。 今年度の日本南極地域観測隊の航海(2013年11月から2014年3月)では、昨年度に陸棚域に設置した係留系を回収するとともに、昨年度は回収に至らなかった斜面域の係留系の回収作業についても再度実施する。更に、昨年度よりも大規模にXCTD観測を実施する予定である。
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