研究課題
当初計画どおり、宇宙科学研究所と共同して北海道大樹実験場において新たな成層圏大気クライオサンプリング実験を実施するために準備を進めていたが、宇宙科学研究所の第2次実験の中止決定にともない、クライオ実験は実施できなかった。そこで、過去の二酸化炭素および六フッ化硫黄の濃度分析結果をもとにして、2010年以前の過去25年間のデータから平均年代の長期変動を明らかにした。また、国立極地研究所とともに前年度1月に実施した南極昭和基地におけるジュールトムソンミニクーラーを用いた成層圏大気サンプリングが成功しており、それによって得られた南極上空の成層圏大気サンプルの濃度および同位体の分析を実施した。二酸化炭素、六フッ化硫黄の濃度のみならず、重力分離の指標である大気主成分の同位体比の分析も実施した。ただし、正確な平均年代の推定には、信頼できる最新の対流圏濃度データが必要であり、現時点ではまだ公開されていないため、今後公開され次第決定することとした。本研究により、既に赤道太平洋上での観測結果を保有しており、北半球中緯度から南極までのグローバルな成層圏大気年代の緯度分布が明らかとなった。クライオサンプリング実験によって新たに発見された成層圏大気の重力分離効果を大気年代とともに数値モデルを用いて再現した。2次元の中層大気モデルに成層圏大気の分子拡散過程を新たに組み込み、観測で得られた重力分離の基本的な鉛直構造は数値モデルで再現可能であることを明らかにした。さらに、地球温暖化に伴う ブリューワ・ドブソン循環の長期的な盛衰に伴って大気年代と重力分離がどのように変化するのかを理論的に示し、重力分離が成層圏大気輸送の新たな指標として有用であることを明らかにした。これらの研究成果は北京で開催された第9回国際二酸化炭素会議で発表し、また研究論文として専門科学雑誌において発表した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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