研究課題/領域番号 |
23340139
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
小橋 史明 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 准教授 (80377077)
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研究分担者 |
久保川 厚 北海道大学, 地球環境科学研究科(研究院), 教授 (00178039)
佐々木 英治 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球シミュレータセンター, 研究員 (50359220)
田口 文明 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球シミュレータセンター, 研究員 (80435841)
細田 滋毅 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境変動領域, 技術研究主任 (60399582)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 海洋物理学 / 気象学 / モード水 / 亜熱帯反流 / 大気海洋相互作用 |
研究概要 |
本課題は,海洋循環と気候の形成および変動におけるモード水の役割を解明することである.本年度の主な成果は次の通りである. 1.北太平洋亜熱帯循環系の鉛直構造とモード水との関連を,海洋の気候値資料を用いて調査した.この研究では,亜熱帯循環系北側の大規模な東向流と南側の西向流の境界を東西循環軸と定義し,その鉛直構造の特徴を詳細に調べた.その結果,鉛直積算した海洋の二次元的な循環場の循環軸は,古典的な風成循環理論から期待される位置とおよそ一致すること,さらに,各深度の循環軸は,海洋の鉛直構造を説明する通気水温躍層理論と整合し,深度ともに北側にシフトすることを示した.この循環軸の北へのシフトは,中央モード水の層内で小さく,その上下層で大きく起こることを指摘し,その物理的な仕組みを明らかにした.この結果は,モード水が亜熱帯反流の形成だけではなく,大規模な海洋循環にも影響を及ぼしていることを示しており,海洋循環の理解に大きく貢献するものである. 2.海洋大循環モデルを用いて数値実験を行い,ハワイ諸島西側に見られるハワイ風下反流における大気と海洋の相互作用を調べた.ハワイ風下反流は,基本的にハワイ諸島付近の風の分布により駆動されているが,北側から南下してくるモード水に応答して変動することが知られている.数値実験の結果,反流が運ぶ暖水は,反流に沿って局所的な風系を形成し,その風系が反流の維持に重要な役割を担っていること,さらに,反流の季節および年々変動の増幅に寄与していることを明らかにした. 3.アルゴフロートの観測資料の解析から,黒潮続流海域の冬季混合層の十年規模変動が,モード水の変化を通して,亜熱帯反流の変動を引き起こしていることを明らかにした.定量的な解析により,亜熱帯反流の十年規模変動の分散の約80%がモード水の変動に起因することを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね当初の計画通りに進んでいる.論文や学会の発表も多数あり,研究成果も順調に出ている.研究の目的の達成に向けて順調に進展していると判断できる.
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今後の研究の推進方策 |
来年度は本研究計画の最終年度である.研究分担者間の連携をさらに強化し,研究を効率的に進めるとともに,これまでの研究から得られた成果を,学会や学術誌などを通して積極的に発信していく.研究計画の変更および研究を遂行する上での問題点はない.
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