研究課題
インドネシア周辺の島嶼領域は、海と陸が共存するユニークな地理的特徴から、"インドネシア海洋大陸"と呼ばれる。東西5,000kmに広がるインドネシア海洋大陸は、海水面からの豊富な水蒸気の供給により、地球上で最も積雲対流活動が活発な地域の一つであり、地球規模の大気循環・水循環に大きな影響を与える。この地域の積雲対流活動は、数年スケールのエルニーニョ・南方振動(ENSO)・数10日スケールのマッデン・ジュリアン振動(MJO)、1日スケールの海陸風・山谷風など様々な時間・空間スケールで変動する。しかし、この地域での観測データは乏しく、インドネシア海洋大陸での気象現象の理解は進んでいない。雨滴粒径分布(DSD)の定量的観測は降水過程の理解進展に不可欠である。本研究では、インドネシアの西端から東端に至るDSD地上観測網を構築し、インドネシアにおけるDSDの時間・空間変動をはじめて定量的に解明することを目的とする。地球観測システム構築推進プラン「海大陸レーダーネットワーク構築」により、スマトラ島・カリマンタン島・スラウェシ島・ニューギニア島近傍に赤道上を東西に貫くウィンドプロファイラー(WPR)観測ネットワークが構築された。今年度はこれらの各サイト(コトタバン・ポンティアナ・マナド・ビアク)にディスドロメータを整備し、連続観測を開始した。観測データを収集、整理し、DSD観測データベースを作成しつつある。また、コトタバン近郊に可搬型気象レーダーを設置し、ディスドロメータやWPRとの同時観測を実施した。
2: おおむね順調に進展している
現在までにインドネシアの西端から東端に至る雨滴粒径分布(DSD)地上観測網の構築が完了しており、連続観測を実施している。また、気象レーダー観測も実施し、データ解析を進めているところである。研究は順調に進展していると言える。
当初計画通り、雨滴粒径分布計(ディスドロメータ)、ウィンドプロファイラ(WPR)、気象レーダー、雷放電ネットワーク観測装置などから、観測データベースを作成し、MJO指数や全球再解析データも利用して、MJO活発・不活溌期、ENSO・ラニーニャに類別し、DSDの特性を明らかにしていく。
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