研究課題/領域番号 |
23340142
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
橋口 浩之 京都大学, 生存圏研究所, 准教授 (90293943)
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研究分担者 |
森 修一 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境変動領域, チームリーダー (00344309)
高橋 幸弘 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50236329)
山本 真之 京都大学, 生存圏研究所, 助教 (90346073)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ウィンドプロファイラー / 国際共同観測 / 熱帯域インドネシア / 降水特性 / 発雷 / 降雨粒径分布 / DSD / 海大陸 |
研究概要 |
インドネシア周辺の島嶼領域は、海と陸が共存するユニークな地理的特徴から、“インドネシア海洋大陸”と呼ばれる。東西5,000kmに広がるインドネシア海洋大陸は、海水面からの豊富な水蒸気の供給により、地球上で最も積雲対流活動が活発な地域の一つである。この地域の積雲対流活動は、数年スケールのエルニーニョ・南方振動(ENSO)・数10日スケールのマッデン・ジュリアン振動(MJO)、1日スケールの海陸風・山谷風など様々な時間・空間スケールで変動する。雨滴粒径分布(DSD)の定量的観測は降水過程の理解進展に不可欠である。本研究では、地球観測システム構築推進プラン「海大陸レーダーネットワーク構築」により整備された、スマトラ島・カリマンタン島・スラウェシ島・ニューギニア島近傍の赤道上を東西に貫くウィンドプロファイラー(WPR)観測ネットワークの各サイト(コトタバン・ポンティアナ・マナド・ビアク)にディスドロメータを設置し、連続観測を行った。 最初に連続観測を開始したコトタバンにおける長期間のDSD観測データを用いて、時間変化について調べた。日周期の対流性降水・層状性降水に応じて、降水強度とともにDSDはそれぞれ広く・狭くなる特徴があった。すなわち、10mm/h以下の降水に対しては層状性の方が対流性よりもDSDは広かったが、強い降水では対流性で大粒径が見られた。朝方のDSDは夕方よりも狭い特徴があった。DSD特性の季節変化はほとんど見られなかった。季節内変動に関して、MJO活発期は発達したメソ対流系、高い降雨頂高度、長い降雨持続時間、低い発雷率で特徴付けられた。一方、MJO不活発期には降水雲はあまり組織化されないが、午後の対流は背が高く、発雷も頻繁であった。大粒径はMJO不活発期に多く、活発期におけるDSDはMarshall-Palmerモデルよりも狭い特徴があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までにインドネシアの西端から東端に至る雨滴粒径分布(DSD)地上観測網の構築が完了しており、連続観測を継続している。データ解析を進めているところである。研究は順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画通り、雨滴粒径分布計(ディスドロメータ)、ウィンドプロファイラ(WPR)、気象レーダー、雷放電ネットワーク観測装置などから、観測データベースを作成し、MJO指数や全球再解析データも利用して、MJO活発・不活溌期、ENSO・ラニーニャに類別し、DSDの特性を明らかにしていく。
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