研究課題
これまでのEISCATレーダー特別実験から、太陽コロナ質量放出現象(Coronal Mass Ejection: CME)などに伴う電離圏変動の特徴が示された。本年度、極域熱圏変動の典型例として上記CME現象に着目し、その際の熱圏大気変動について数値モデル(General circulation model: GCM)を用いたシミュレーションを実施した。CMEに伴い、太陽風は2段階の変動を示した。はじめに太陽風のショック構造によりオーロラオーバルの大きさをほとんど変化させずに極域に強い加熱が生じた。約2時間後、太陽風南向き磁場の影響でオーロラオーバルの大きさを拡大させながら同様に強い加熱が引き起こされた。上記2段階のオーロラ加熱領域の変動に対応したシミュレーションにより、熱圏温度・風速変動を調べたところ、収縮したオーロラオーバルでの加熱では局所的な高温領域が形成され、拡大したオーロラオーバルでの加熱では温度上昇よりも熱圏風加速が顕著に生じることが明らかになった。トロムソ・ノルウェーのEISCATレーダーサイトに設置されている光学機器(ライダー)により、高度約80-110 kmでの金属ナトリウムの密度、温度変動の観測を継続的に実施している。これまでの観測データの解析により、大気潮汐波、大気重力波によるナトリウム変動の特徴が示された(例えば、大気波動の活動度や、伝搬・散逸高度の変動など)。オーロラの活動度が活発な際のナトリウム変動の事例も示され、高度80-110 kmの極域中間圏・熱圏では上方と下方からの影響がともに大気変動の要因として重要であることが観測的に示された。また、これらの大気上下結合について調べるためのシミュレーションを実施し、中間圏・熱圏での大気重力波・潮汐波の特徴・影響が示された(例えば、成層圏突然昇温時の中間圏・熱圏での大気潮汐波など)。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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J. Geophys. Res.
巻: 119 ページ: -
10.1002/2013JA019421
10.1029/2013JA019520
巻: 118 ページ: -
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