研究課題
基盤研究(B)
本研究課題の目的は、放射線帯外帯全体のマクロな動態と、プラズマ波動との共鳴相互作用によるミクロな素過程を同時に解きすすめる放射線帯マルチスケールシミュレーションモデルを新たに開発し、各輸送、加速プロセスの非線形性が外帯のグローバルな変動に与える影響を明らかにすることを目的とする。H23年度は、マクロなモデルであるグローバル磁気圏MHDモデルと、ミクロな素過程のモデルであるGEMSIS-WPIモデルの開発を進めた。グローバル磁気圏MHDモデルについては、長期間の計算の実行が可能とするように改良を進めた。GEMSIS-WPIAモデルについては、モデル化したホイッスラーモード波動と高エネルギー電子との相互作用を解きすすめるモジュールが完成し、ダイポール型の磁気圏形状の中での波動粒子相互作用の計算を行った。また、低高度衛星が観測した降りこみ電子のエネルギー-時間変化との比較検討を行ったところ、GEMSIS-WPIの結果は降りこみ電子の特徴をよく再現することがわかった。また、GEMSIS-WPIモデルをグローバル計算に組み込むために必要となる波動分布に関するデータ解析研究も行い、高速太陽風通過に伴うホイッスラー波動分布の動態特性を明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
H23年度に予定していたシミュレーションコード開発について、グローバル磁気圏モデル、GEMSIS-WPIモデルともに、おおよそ計画どおりに進んでいる。グローバル磁気圏モデルについては、計算を安定して行うための改良を行う必要があり、H24年度の課題となっている。
グローバル磁気圏モデルとGEMSIS-RBモデルとの結合を行い、グローバルな磁気圏モデルの中での高エネルギー電子の輸送についての数値実験を行う。特に、プラズマシートからの電子の注入過程についての計算を行い、どのように電子が内部磁気圏に輸送されるのかを実証的に調べていく。また、H25年度からのRBSP衛星との比較を目指して、RBSP衛星打ち上げ後のイベントスタディを開始する。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (14件)
J.Geophys.Res.
巻: 117
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The Dynamic Magnetosphere
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