研究課題
本研究では、放射線帯外帯全体のマクロなダイナミクスとプラズマ波動との共鳴相互作用によるミクロな素過程を同時に解き進めるマルチスケールシミュレーションを新たに開発し、輸送・加速の非線形過程が外帯電子のグローバルな分布にどのような影響があるかを明らかにすることを目的とする。最終年度の本年度は、観測との比較を集中的に行った。得られた成果は以下である。(1) 脈動オーロラに伴って数百keVの電子が散乱される様子について、人工衛星、地上観測および本研究で開発したシミュレーションを組み合わせた研究を行った。その結果、コーラスと呼ばれるプラズマ波動が、数keVから数百keVまでの広いエネルギー帯を同時に散乱させることが明らかになった。この結果は、投稿論文として報告された。(2) 開発されたコードを用いて、非線形波動粒子相互作用についての長時間計算を行った。その結果、コーラスによって電子が長時間加速を受けた場合に、その分布関数の時間発展は準線形からはずれたものとなることが明らかになった。この結果は、2016年度に行われる国際会議において招待講演として報告される。(3)昨年度に引き続き グローバルMHDシミュレーションとテスト粒子計算の結合計算を実施し、太陽風動圧の急増に伴って磁気圏を伝搬するFastモード波動が、特定のエネルギーの電子を選択的に加速し、その様相はL値によって異なることを示した。同様の事例が、米国のVan Allen Probes衛星で観測されており、その比較検討を実施している。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件)
J. Geophys. Res.
巻: 120 ページ: 1
10.1029/2014JA020690
Geophys. Res. Lett.
巻: 41 ページ: 1
10.1002/2014GL059360
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