研究概要 |
ホイッスラーモード波のコーラス放射の多くは周波数が上昇するライジングトーンであるが、中には周波数が下降するフォーリングトーンも存在している。このフォーリングトーンの生成過程について、理論的な考察から磁気赤道域の上流側で共鳴電子の多くが波のポテンシャルに捕捉されることによって生成されることが判明して、それを裏付ける計算機シミュレーションを実行して理論検証を行い、論文発表した[Nunn and Omura, 2012]。このフォーリングトーンの生成原理が解明できたことにより、コーラス放射の非非線形成長理論が完成し、これまでのライジングトーンおよびフォーリングトーンに関する非線形プロセスを統一的に記述し、解説するレビュー論文を発表した。[Omura et al., 2012]. この非線形理論で導かれるコーラス放射の閾値および最適振幅を最近の衛星観測と比べると、非常に良い一致を見ることができ、非線形理論の正しさを検証することが出来た[Kurita et al., 2012]。一方、コーラス放射と同じ原理で生成される低周波のEMICトリガードエミッションについてハイブリッドコードによる計算機実験により、ヘリウムイオンが関係する波動モードと100keV相当の高エネルギープロトンとの相互作用によりエミッションが生成されることを報告した[Shoji and Omura, 2012]。ホイッスラーモードコーラス放射は放射線帯の電子を有効に加速させるが、EMIC波はその相対論的電子を非常に効率よくピッチ角散乱させることが分かってきており、その非線形理論解析を行い、テスト粒子シミュレーションにより理論を検証し[Omura and Zhao, 2012]。また、極域におけるサイクロトロン不安定による相対論的電子の加速過程についても計算機実験を行い発表した[Lee et al., 2012]。
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