研究概要 |
① 2011年4月11日に発生したいわき地震(M7)の余震域に2本の深層孔井を借用して4月21日から50日間の臨時観測を実施した結果を解析し、論文として公表した(2012,地質学雑誌,v.118, no.11, 696-708)。この観測は、余震に伴う水位変動を震源の間近で観測することにより、前兆的変動が捕捉できることを期待して行ったもので、水位換算体積歪の分解能は2.5~3×10の-10乗strain/mmと敏感で、27個の地震に伴う水位変動を観測できた。発震機構解が求められている21個に関しては、水位変化がdislocationモデルによる体積歪の理論値に比例するので、水位変化の主因は静的体積歪変化であることが明瞭となった。約30%の地震に地震直前の微弱な水位変動が伴われていたが、前兆変動と断言できるには更なる研究が必要である。 ② いわき地震の余震活動が次第に衰退する一方、隣接する茨城県北部での余震活動が継続していたので、高萩市に深層自憤井を借用し、ラドン濃度、炭酸ガス濃度、水温の観測を2012年度当初から開始した。また、3.11巨大地震以降茨城県~千葉県沖での大地震が危惧されていたので、筑波大学構内にある既設の深層孔井で2012年6月から地下水位の観測を開始した。これらの新しいサイトでの観測は現在も継続している。 ③ 本研究計画開始時の「深層地下水観測システム」は現在では一関市やびつ温泉、登米市南方、東松島市矢本の3サイトであり、2012度も観測を継続した。
|