研究課題
1)鉄乳鉢で粉砕してふるいにかけた粒径500μm以下のドレライト粉砕試料をさらに自動瑪惱乳鉢で粉砕し、10分、6時間、12時間、以後12時間毎に60時間まで粉砕した。透過電子顕微鏡観察から、6時間以上粉砕した試料中にはサブミクロンサイズの丸い非晶質粒子が多く含まれることが明らかとなった。粉砕時間36時間までは細粒化と非晶質化が進行し、非晶質物質含有量は約40wt%まで増加するが、粉砕時間が36時間以上になると、粉砕時間が長くなっても非晶質物質含有量量は増減しなくなった。また、走査電子顕微鏡観察から、6時間以上粉砕した試料中には、角ばった破砕粒子を非晶質微粒子がコーティングした丸い粒子が多く含まれることが明らかとなった。この粒子は、火山豆石のように、非晶質物質が水分により破砕粒子に吸着成長して形成されたものと考えられる。粉砕時間の増加に伴い、この丸い粒子の量は増加する傾向にある。2)東京大学地震研究所の二軸試験機を使用して、垂直応力約7MPa、変位速度1,10μm/sでステップ状に変化させながら摩擦実験を行った結果、非晶質物質を全く含まない10分間粉砕試料の摩擦係数(約0.6)に比べて非晶質物質を約40wt%含む36時間粉砕試料の摩擦係数(約0。55)が小さく、非晶質物質の存在により摩擦強度が低下することが明らかとなった。また、10分間粉砕試料は速度弱化の挙動を示すのに対し、36時間粉砕試料は摩擦強度の変位速度依存性が中立に近く、非晶質物質の存在により摩擦強度の変位速度依存性も変化することが明らかとなった。
3: やや遅れている
東京大学地震研究所二軸試験機の調整不足により良質な摩擦実験データが得られず、また2試料のみしか摩擦実験が実施できなかったため。
前述のように、今年度は東京大学地震研究所の二軸試験機の調整不足により、ドレライト粉砕試料の良質な摩擦実験データが得られなかった。このため、来年度は点検・調整が終了した千葉大学の高温高速摩擦試験機を使用して摩擦実験を行い、非晶質物質含有量と摩擦強度との関係を明らかにする予定である。また、ドレライト試料の摩擦強度の変位速度依存性と温度依存性を調べる実験を、点検・調整が千葉大学の高温高速摩擦試験機を使用して来年度から本格的に開始する予定である。
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