研究課題
1)自動めのう乳鉢で10分間、12時間および60時間粉砕したドレライトガウジ試料(非晶質物質をそれぞれ0, 24, 42 wt%含有)を、 産業技術総合研究所活断層・地震研究センターの回転剪断試験機を使用して室温、垂直応力2 MPaの下で、変位速度20 μm/s~1.3 m/sの範囲で摩擦実験を行った。変位速度4 cm/s以下では粉砕時間によらず変位速度によって摩擦係数は大きく変化しない(0.54 ~0.69)が、変位速度4 cm/s以上になると変位速度の増加に伴って急激に摩擦強度が低下した(変位速度1.3 m/sでは摩擦係数0.2 程度)。また、変位速度1.3 cm/s以下の同一変位速度では粉砕時間12時間および60時間の試料が粉砕時間10分間の試料より摩擦係 数が大きいのに対し、変位速度13 cm/s以上の同一変位速度では逆になる傾向が認められた。2)以上のような粉砕時間の違いによるドレライトガウジの摩擦特性の違いは、非晶質物質に吸着した水分により統一的に説明できる 可能性がある。非晶質物質は空気中の水分の吸着と帯電により破砕粒子周囲に豆石状に付着する傾向があり、粉砕時間が長い試料 ほど非晶質物質を多く含むことから水分を多く吸着すると想定される。ガウジが水分を吸着すると摩擦強度が増大することが知ら れており、すべり面の温度が100℃以下の場合には、非晶質物質含有量が多い粉砕時間が長い試料ほど吸着水分が多く摩擦強度が 大きくなり、摩擦発熱によりすべり面の温度が100℃以上になると非晶質物質に吸着した水分が失われるため、粉砕時間が長い試 料ほど摩擦強度が大きく低下すると考えられる。従って、変位速度が4 cm/sに達した際にすべり面の温度が100℃以上になった可 能性が大きい。
3: やや遅れている
昨年度点検・調整を行った千葉大学の高温高速摩擦試験機を使用して、今年度はドレライト試料の摩擦強度の変位速度依存性と温度依存性を調べる実験を開始する予定であったが、温度調節器に不調が見つかりその修理に時間がかかってしまい、予備実験しか行うことができなかった。
ようやく千葉大学の高温高速摩擦試験機の稼働の目途がついたので、今年度はそれを使用してドレライト試料の摩擦強度の変位速度依存性と温度依存性を調べる実験を行い、実験試料の解析に基づいてそれらの物質科学的要因の解明を行う。さらに実験から得られた断層強度の変位速度依存性と温度依存性を組み込んだ、断層の力学モデル構築を目指す。
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