研究課題
本研究では、インド・ダールワール岩体の堆積岩・低変成堆積岩の炭素・酸素および四種硫黄同位体の研究から、大気酸素上昇メカニズムとその原因、またそれはどのように起こったのか(長時間で連続的か短時間で突発的か)を明らかにすることを目的とする。本年度は、以下について検討を行った。(1)昨年に引き続きダールワール岩体、チトラドゥルガ片岩帯の地質調査およびサンプリングを行った。周辺地域との比較のために、広範囲にわたって調査を実施した。野外で採取した試料は、薄片の観察を行った上で、いくつかのサンプルを厳選しEPMAによる分析を行った。(2)チトラドゥルガ片岩帯から採取された、ストロマトライトを含む炭酸塩岩を用いて炭素・酸素同位体分析を行った。有機炭素のデルタ13Cは石英脈やラミナの見られる試料では、-16.0‰~-7.7‰、石英脈やラミナ見られない試料では、-23.6‰~-16.7‰,ストロマトライトを含む試料では、-19.8‰~-10.9‰となり,生物起源性を示す値が得られた。(3)炭酸塩岩中の炭素質物質を抽出しラマン分光分析を行った。変成岩中の炭素質物質の特徴を確認するため、先行研究と比較したところ、ストロマトライトを含む試料のみ異なる傾向を示した。これは出発物質が、球状に近い構造を持つ生物起源のものである可能性を示唆する。(4) 昨年に引き続き年代値を加えるために、研究分担者(外田)の所属する国立極地研究所において二次イオン質量分析計(SHRIMP)ならびに電子線マイクロプローブ(EPMA)を用いたジルコンおよびモナザイトのU-Th-Pb年代測定を実施した。これによって、太古代末期の詳細な年代時系列での同位体進化の解析が可能となる。
2: おおむね順調に進展している
インド・ダールワール岩体で採取したストロマトライトの炭素同位体データから生物起源性を示す値が得られた。過去に得られた同岩体の硫黄同位体のデータとあわせた解釈を行うことで、目標とする太古代末期の詳細な年代時系列での同位体進化の解析が可能との見通しが得られたため。
本研究地域であるダールワール岩体における縞状鉄鉱層の化学的なデータは不足している。そこで縞状鉄鉱層の希土類元素組成、Sr・Nd同位体のデータを加えることで太古代末期の大気酸素上昇メカニズムを明らかにする。
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