研究課題
本研究では、インド・ダールワール岩体の堆積岩・低変成堆積岩の炭素・酸素および四種硫黄同位体の研究から、大気酸素上昇メカニズムとその原因、またそれはどのように起こったのか(長時間で連続的か短時間で突発的か)を明らかにすることを目的とする。本年度は、以下について検討を行った。(1) 昨年に引き続きダールワール岩体、チトラドゥルガ片岩帯とその周辺の片岩帯の地質調査およびサンプリングを行った。野外で採取した試料は、薄片の観察を行った上で、いくつかのサンプルを厳選しEPMAによる分析を行った。(2) ダールワール岩体中における縞状鉄鉱層(3.0Ga)に関する分析を行った。本地域の縞状鉄鉱層(BIFs)はAl2O3の含有量が低く、陸源性物質の欠乏が見られる。また,PASSで規格した希土類元素パターンの特徴として、全体的な濃度の低さ,重希土類元素と比較した際の相対的な軽希土類元素の枯渇、La・Eu正異常があげられる。強いEu正異常は熱水(>250℃)に起因しており、Y正異常の欠如を除き、本調査地域のBIFsは他地域の太古代のBIFsの特徴と一致する。BIFs中のSrの同位体比は大きなばらつきがあり、これは変質・変成作用によるものであり、同位体比は初生値を示していない。一方Ndの同位体比からは一貫した情報を得ることができた。多くのサンプルではεNd(3000Ma)が+2 から+4の値を示し、モデル年代と堆積年代も一致した。(3) 昨年に引き続き年代値を加えるために、研究分担者(外田)の所属する国立極地研究所において二次イオン質量分析計(SHRIMP)ならびに電子線マイクロプローブ(EPMA)を用いたジルコンおよびモナザイトのU-Th-Pb年代測定を実施した。これによって、太古代末期の詳細な年代時系列での同位体進化の解析が可能となる。
2: おおむね順調に進展している
インド・ダールワール岩体で採取した縞状鉄鉱層の地球化学的データから堆積環境の復元が可能となり、過去に得られた同岩体の硫黄同位体のデータとあわせた解釈を行うことで、目標とする太古代末期の詳細な年代時系列での同位体進化の解析が可能との見通しが得られたため。
本研究地域であるダールワール岩体の様々な岩石試料の全岩化学組成、微量・希土類元素組成、ストロンチウム、ネオジムの同位体比、炭素・酸素および四種硫黄同位体比を総合的に解釈し、太古代末期の大気酸素上昇メカニズムを明らかにする。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (21件) (うち査読あり 20件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (34件) (うち招待講演 2件)
Earth and Planetary Science Letters
巻: 392 ページ: 86-93
10.1016/j.epsl.2014.02.006
Gondwana Research
巻: 25 ページ: 226-234
10.1016/j.gr.2013.04.001
Journal of Geology
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
Precambrian Research
巻: 234 ページ: 1-7
10.1016/j.precamres.2013.06.010
巻: 368 ページ: 222-224
10.1016/j.epsl.2013.03.032
巻: 234 ページ: 8-29
10.1016/j.precamres.2013.05.017
巻: 234 ページ: 247-256
10.1016/j.precamres.2013.04.015
巻: 234 ページ: 85-135
10.1016/j.precamres.2012.11.012
巻: 234 ページ: 229-246
10.1016/j.precamres.2012.10.006
巻: 234 ページ: 257-278
10.1016/j.precamres.2012.10.016
巻: 234 ページ: 161-182
10.1016/j.precamres.2012.10.009
巻: 234 ページ: 183-209
10.1016/j.precamres.2012.12.002
巻: 234 ページ: 30-46
10.1016/j.precamres.2013.05.010
巻: 234 ページ: 136-160
10.1016/j.precamres.2012.11.011
巻: 234 ページ: 210-228
10.1016/j.precamres.2012.10.002
巻: 234 ページ: 47-62
10.1016/j.precamres.2012.09.026
In: Antarctica and Supercontinent Evolution, eds by S.L. Harley et al., Geological Society of London Special Publications
巻: 383 ページ: 113-133
10.1144/SP383.4
European Journal of Mineralogy
巻: 25 ページ: 33-38
10.1127/0935-1221/2013/0025-2256
Scientific Reports
巻: 3 ページ: 1306
10.1038/srep01306
巻: 236 ページ: 227-251
10.1016/j.precamres.2013.07.023
巻: 227 ページ: 99-119
10.1016/j.precamres.2012.04.006