研究課題/領域番号 |
23340158
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
長谷川 卓 金沢大学, 自然システム学系, 教授 (50272943)
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研究分担者 |
沢田 健 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (20333594)
森下 知晃 金沢大学, 自然システム学系, 教授 (80334746)
福士 圭介 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 助教 (90444207)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 白亜紀 / OAE / 海洋無酸素事変 / 炭素同位体比 / セニマニアン / チューロニアン |
研究概要 |
23年度には機器を管理する人材の確保ができなかったうえ,10月から1月にかけて代表者が怪我で長期入院したため,24年度に23年度経費を繰り越し,今回報告する24年度分の研究と並行しての作業となった.24年度当初には機器を管理するポスドク,また研究を推進するポスドクをそれぞれ確保することができたが,前半は23年度からの繰り越し経費での採用とした.ポスドクによる機器の調整が行われ,年間を通じて安定した機器の運用ができ,調整方法や使用の際の注意などは出版物として公表するに至った(後藤ほか2012; Moriya et al., 2012) 北海道での野外調査は,代表者の長谷川(23年度に引き続き)と,指導博士課程学生の根本俊文で行った.調査の概要は,白亜系セノマニアン/チューロニアン境界の過去の資料採集地点の詳細な確認と,路線マップ作り,および試料採集である.北海道北部の達布地域では,2011年公表の論文の露頭に,断層による層序的な繰り返しがあることが明らかになった.また大夕張地域では,天候や河川増水などによる悪条件や危険な大型動物への遭遇などの困難を克服し,エンジンカッターを用いた連続試料の採取に成功した.同地域は達布地域よりも堆積速度が遅いため,微量元素などの農集が期待できる. 当該研究と関連する研究として行ってきたニュージーランドのセノマニアン/チューロニアン境界の炭素同位体比層序と古環境に関連し,Hasegawa et al. (2012)がCretaceous Researchに公表された.既に関連研究では著名な研究者であるH. Jenkyns氏との交流において,太平洋の古環境が,従来考えていたよりも複雑であるという意味で興味深いというコメントをいただいている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
23年度に研究協力者が確保できなかったことと,代表者が大けがをして長期入院したことが響いているが,24年度研究は順調に進んだため,やや取り戻しつつある.25年度の進捗にかかっているといえよう.
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今後の研究の推進方策 |
25年度は室内での分析作業を中心に行う.具体的には陸上高等植物に由来するバイオマーカーの炭素・水素同位体比分析が,その中心を占める.そのため,ガスクロマトグラフ質量分析装置およびガスクロマトグラフ‐熱分解‐連続フロー型安定同位体質量分析装置を多用する.そのため,これら機器を管理するポスドクの人件費と研究機器の維持費に経費の大部分を充てる.短期間の北海道における追加調査も行う予定である.期間中,国際学会,国内学会での発表も行う予定である.12月までには分析結果について一定のめどをつけ,残りの期間は公表論文の作成に集中する.
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