研究課題
北海道とニュージーランド南島に分布する白亜系セノマニアン/チューロニアン階境界の堆積物について詳細に研究を行うとともに,採集済み試料について実験室内での分析作業を行った.野外調査は,指導博士課程学生の根本俊文が行った.調査の概要は,白亜系セノマニアン/チューロニアン境界の過去の資料採集地点の詳細な確認と,路線マップ作り,および追加試料採集である.別経費により行われた調査の際に,並行して行った.分析作業は,抽出性有機物中に含まれる高等植物由来物質である長鎖n-alkanesの炭素同位体比分析およびその他の高等植物バイオマーカーに焦点を絞って行った.同位体分析に先立ってガスクロマトグラフおよびガスクロマトグラフ質量分析装置での分析を行った.脂肪族炭化水素分画について炭素同位体比分析を行ったが,目的物質が十分に分離していないものの,「2万年イベント」の層準直下に顕著な正の異常ピークが確認された.これを予察データと位置づけ,次に尿素アダクトによって目的物質の分離を行ったうえで分析を行った.分離は完全とはいかないものの,同位体比を評価するうえでは問題ないと判断できた.結果は,予察データとほぼ同様の正のピークを確認した.「2万年イベント」はバルク炭素同位体比でみられる負のエクスカーションについて名づけられたものだったが,むしろイベントとしてはその直前にみられる正の異常のほうが重要であり,長鎖n-alkanesではその正のイベントが明瞭に表れた.炭素数の異なる長鎖n-alkanesの比率が,その層準にて明瞭に変化することから,この層準では陸域で乾燥化が生じたことが示唆された.被子植物と裸子植物のバイオマーカーの比率を詳細に検討したが,その結果には「2万年イベント」に関連する明瞭な気候変化を示す証拠は得られなかったが,OAE2の開始と同時に被子植物が減少し,寒冷・乾燥化が生じたことが示唆された..
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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