研究課題
最終年度は,これまでに開発を完了したU-Th-Ra放射非平衡年代ならびに微小元素,同位体組成分析・解析技術を活用し,富士火山噴出物の解析を実施した.さらに開発したTh同位体のマルチコレクションICP質量分析計による分析法と試料の精密な段階的酸溶脱法を組み合わせ,1万年を切る若い火山噴出物の年代測定を可能とする重要なブレークスルーを成し遂げた.富士火山噴出物については既に採取済みの35試料についてU-Th-Ra放射非平衡年代決定,主要・微量元素測定およびSr,Nd,Pb同位体組成の分析を完了し,富士火山マグマシステムに関するモデリングを進め,論文執筆の準備を進めている.昨年度,運営交付金にて顕微ラマン分光装置を導入し,既設のカソードルミネッセンス検出器を備えたフィールドエミッション走査電子顕微鏡ならびにフィールドエミッション透過電子顕微鏡と組み合わせ,ミクロン~サブミクロン領域での結晶構造記載,組成変化記載を実現するシステムも順調に稼働し,富士火山試料の精密な岩石学的記載も完了した.加えて,2台の希ガス質量分析計を用いて,スパイク法と感度法を同一試料に適用し,Ar同位体初生値の不確かさに起因する年代誤差を低減する新たなK-Ar年代測定を確立することができた.これによってU-Th-Ra非平衡年代(噴火からの相対年代)の基準となる噴出年代を精密に決定することが可能となり,今後の学問展開に極めて大きな進歩を成し遂げた.また本研究の成果の一部として,巨大火山噴火のマグマダイナミクスに関する地球物理学的モデルに関してNatrure Geoscience誌に成果を公表した.
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 備考 (1件)
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http://www.misasa.okayama-u.ac.jp/