研究分担者 |
上原 誠一郎 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教 (70158773)
石田 清隆 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 准教授 (60108602)
中牟田 義博 九州大学, 総合研究博物館, 准教授 (80128058)
北 逸郎 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 教授 (10143075)
林 辰弥 独立行政法人国立科学博物館, 非常勤研究者 (80571132)
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研究概要 |
本年度の研究計画は,主として,1)温度可変AFM法の導入と確立,2)気候・環境変動指標鉱物のAFM溶解その場観察,および,3)ラミナイト層の生成条件の推定のための基礎データの獲得,であった.これらの研究計画に対し,以下の成果が得られた. 1)に関しては,温度可変AFMの導入が終了し,特に,本研究の主題である室温以下の低温条件(5-25℃)でのAFMその場観察が可能であることを確認した.これにより,当初の計画通り,室温・高温条件に加えて,低温条件での溶解実験を遂行中である2)に関しては,純水中における重晶石の温度60℃までのAFM溶解その場観察実験を行い,(1)各温度でのステップ後退速度,エッチピット形成速度等を精確に決定したこと,(2)温度40℃前後を境にステップの後退様式やエッチピットの形成様式,およびそれらのメカニズムが変化すること,(3)本研究で得られた重晶石溶解に対する活性化エネルギーが先行研究の結果よりかなり高く,先行研究の結果の問題点を指摘した上で,温度60℃前後を境にして,低温条件では重晶石溶液の温度依存性がより強くなること,(4)電解質溶液・低温(室温程度)条件および純水-高温条件での重晶石の溶解様式の類似性が新たに浮かび上がってきたこと,などの新たな知見が得られた.これらの結果の一部は学会で発表するとともに,論文を投稿中である.3)に関しては,珪藻化石および花粉化石の解析と粘土鉱物分析を進め,ネパール・古カトマンズ湖の環境及び周辺の古気候変動の復元を試みている.その結果の一部は学会で発表するとともに論文を投稿中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の研究計画通り,温度可変AFMの導入・確立が終わり,温度5~60℃までのAFM溶解その場観察が可能となった.また,重晶石の溶解その場観察実験も計画通り進行しており,新たな成果も得られている.同時に,ラミナイト層生成条件の推定のための珪藻・花粉化石の解析も順調に進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画については,おおむね順調に進展している.来年度以降は,溶解実験に加えて結晶成長実験を開始する.ただし,研究実績の概要でも記したように,新たに,電解質溶液・低温(室温程度)条件および純水・高温条件での重晶石の溶解様式の類似性が浮かび上がってきた.これは,重晶石の溶解速度をコントロールする要因や活性化エネルギーの変化を解明する上で重要な事象であり,従って,当初の計画には無かった室温における電解質溶液での溶解実験を始めたところである・この実験に関しては,温度条件を室温に限定できるので,時間的な問題はない.
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