研究課題/領域番号 |
23340163
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
桑原 義博 九州大学, 比較社会文化研究科(研究院), 准教授 (90281196)
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研究分担者 |
上原 誠一郎 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (70158773)
石田 清隆 九州大学, 比較社会文化研究科(研究院), 准教授 (60108602)
中牟田 義博 九州大学, 総合研究博物館, 准教授 (80128058)
北 逸郎 九州大学, 比較社会文化研究科(研究院), 教授 (10143075)
林 辰弥 独立行政法人国立科学博物館, その他部局等, 非常勤研究者 (80571132)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | AFM / 溶解・結晶成長機構 / ステップ / エッチピット / スパイラル成長 / 二次元核成長 / 硫酸塩鉱物 / 気候・環境変動 |
研究概要 |
本年度の研究計画は,主として,(1)室温~60℃における硫酸塩鉱物の純水中及び電解質溶液中でのAFM 溶解その場観察,(2)新手法である温度可変AFM法を用いた室温(25℃)から低温(5~20℃)への冷却過程における硫酸塩鉱物のAFM結晶成長その場観察の確立,(3)ラミナイト層の生成条件の推定のための花粉分析及び珪藻分析とその解析,であった.これらの研究計画に対し,以下の成果が得られた. (1)に関しては,重晶石に対して,純水中では温度60℃まで,電解質溶液では室温でのAFM溶解その場観察実験を行い,1.各温度におけるステップ後退速度,エッチピット形成速度等を精確に決定したこと,2.ステップの後退様式,エッチピットの形成様式,およびそれらのメカニズムが温度だけでなく異なる溶液間においても変化し,それらを明確化したこと,などの新たな知見が得られた.(2)に関しては,新手法の確立と応用を目的として実験を行い,1.新手法における冷却過程(25℃~5℃)での温度制御の反応性と精確性を定量化したこと,2.室温(25℃)における重晶石の溶解現象と結晶成長現象を連続的にその場観察し,さらに,低温(15℃)への冷却過程での連続その場観察に成功し,各条件におけるステップ後退・前進速度,二次元核成長速度,スパイラル成長速度等を精確に決定したこと,3.過飽和度によっては,二次元核成長とスパイラル成長の度合いが異なる可能性があり,またそれらを定量化できると予想されること,などの新しい知見を得た.(3)に関しては,珪藻化石および花粉化石の解析により,ネパール・古カトマンズ湖の環境及び周辺の古気候変動の復元を試みた. これらの結果の一部は,国内外の雑誌等において論文を公表するとともに学会で発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の主な研究計画3つのうち,第1の各温度での重晶石のAFM溶解その場観察実験はほぼ終了し,結果の一部は論文および学会等で公表し,また未公表の結果についても論文を投稿中である.第2の,新手法である温度可変AFM法による冷却過程における硫酸塩鉱物のAFM結晶成長その場観察の確立については,冷却過程での温度制御の反応性と精確性が試験され,温度誤差±1℃以内での精密実験が可能であることを立証するとともに,室温からの冷却過程における硫酸塩鉱物のAFM溶解・結晶成長連続その場観察実験も計画通り進行しており,新たな成果も得られており,その一部はすでに論文で公表している.第3のラミナイト層生成条件の推定のための珪藻・花粉化石の解析に関しても順調に進んでおり,一部の成果はすでに論文,著書(編著)および学会において発表済みである.以上を踏まえ,現在までにおける本研究課題の当初研究目的の達成度に関しては,おおむね順調に進展していると判断できる.
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画については,おおむね順調に進展している.来年度は,重晶石のAFM結晶成長その場観察実験を主体として研究を進め,天然現象との比較・検討を試みる(例として,古カトマンズ湖堆積物中の硫酸塩・炭酸塩結晶の生成条件の推定).結晶成長実験に関する当初の計画としては,温度条件を固定して過飽和度を変化させる実験,および,冷却過程における過冷却度実験,の2つ柱を立てていた.ただし,本年度の研究実績の概要でも記したように,僅かな過飽和度の変化が二次元核成長とスパイラル成長の各成長様式の度合いに密接に関わっていることがわかってきた,従って,来年度は,特に,前者の実験を重点的に行う予定である.各温度条件(5℃~25℃)において過飽和度を僅かに変化させた場合の結晶成長様式の度合いと結晶成長に関する各種速度を決定し,重晶石の結晶成長メカニズムを紐解きその様式化をはかる.これは,天然における重晶石の溶液中での生成条件(特に,温度と過飽和度)を限定する上で重要かつ有効な手段であり,従って,本実験を重点的に行うことは本研究の当初の目的に沿うものである.なお,後者の実験に関する対応策としては,過飽和度を一定にすることで実験時間を減らす予定である.
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