研究概要 |
水を電気分解することによる水素発生器を導入することにより圧力制御炉内の雰囲気制御を可能にした.当装置は国立極地研究所プロジェクト研究(KP6)より補助を得た.水素ガスを流した状態で最高到達温度を1600oCにするプログラム制御を行った.水素流量が50 cc/分で,全圧を100 Paで制御できることを確認した. 減圧炉を用いた本格的な実験に向けて太陽系組成を実験出発物質とする方針を定めた.すなわち,試薬には,アモルファスシリカ(SiO2),酸化チタン(TiO2), アルミナ(Al2O3), 酸化クロム(Cr2O3),酸化マンガン(MnO), 酸化マグネシウム(MgO), 酸化カルシウム(CaO), 炭酸ナトリウム(Na2CO3), 炭酸カリウム(K2CO3), 酸化鉄(III)(Fe2O3)の各粉末を用い,撹拌後,白金るつぼに入れる.ファヤライト,磁鉄鉱,よび石英の3相共存の酸素分圧より1桁低い酸素分圧条件(FMQ-1)において,900oCで3価の鉄を2価へ還元後,リキダス温度まで加熱後,急冷しガラスを作成する.これをめのう乳鉢で粉末にし,再度加熱・急冷する.この作業を再度行い,均質なガラスにする.白金るつぼは鉄成分を一部吸収するので予め鉄を吸わせておく.粉末にしたガラスから直径2mm厚さ1mmのペレットを多数作成し,還元雰囲気下で焼結させる.この一連の出発物質作成作業は研究分担者の磯部准教授の実験室で平成25年5月に実施予定である.
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